第90話 一目見て眩暈がした!

ノリトはその惨状・・・・を一目見て眩暈がした!


「お仕置き」の一言は抑止力にも《・》、ならなかったらしい。

ミオは部屋の隅で震えながら? 静観していた。


「マザー、これは? 何の生物だ? 」

『雷蔵ですが、何か問題でもあるのですか?

雷蔵ユニットの同種或は近似種をサーチした結果に基づき調整を実施しましたが、何か問題でも?

先程も申し上げましたが、趣味・・等、微塵も介入させてはおりません。

そこは、お間違えにならないで下さい 』


「だがな、猫だよな? 元は猫だよなぁ? 本当に猫だよな!!? それが何故こうなる!? どうしたらこうなる? 」

ノリトは雷蔵だった・・・・・それを指差しマザーを問いただす。

『この世界の猫・・・・に決まっています。 

地球の写実的な猫が、この世界のファンシーな猫に変っただけです。

私も驚きましたが、この世界の猫は皆この様な容姿なのですよ。

自律型偵察用ドローンインセクトによる周辺サーチを実施した上での調整です。 御納得頂く以外ないと思うのですが? 』


先程と同じ問答…… 仕方がないなと溜息をついた。

「判った、兎に角ご苦労だった。 では隠密裏に動いて欲しい事がある。

試験衛星が完成している筈だ、それを射出して置いて欲しい。

ただし、決してこの世界の者に気取られる事無くだ。

其の為には義体・・を使用する事も許可する 」


『高空よりの射出なら問題ないと思うけど。

そうね、ウィングキャリアを使用し高高度より射出します 』

ウィングキャリアとはステルス性の高い飛行ユニットの総称である。

但し、ここで言うステルス性とは、レーダー等・・・・・に写らないと言う事ではなく、視覚さえも惑わし、その姿を隠蔽する等の隠密性を指していた。


「射出時間は任せるが、夜間より昼間の方が良いと思う、私達が出掛けた後に行動を開始してくれ 」


『マスター、了解しました 』

少女は一礼し、命令の受諾を示す


「では行って来る。 ミオ、何時まで其処に隠れてる? 早く行くぞ 」

ミオを伴いノリトは部屋を後にした。

一人残された少女が『ご褒美は? 』と呟いたのはノリトには・・・・・聞こえる事は無かった。

だが、ミオは部屋を後にする直前、後ろ手で残念と手を振りながら合図を送っていた。

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