第89話 フォローラ様の状態は?

フォローラ様の状態はどうだろうか?

二人は医療区画へと移動する。


「ねえ、 雷蔵だけど…… 多分普通じゃないわよ 」

ミオがノリトへと進言する

「それは大丈夫だろう、お仕置きすると伝えたんだ。

早々無茶はしないだろ? 」


は~ぁ、ノリトはヤッパリ判ってない! 女心と特殊性癖を……

あの子は普通じゃないのよ!

ただのご褒美・・・になるのに。

今頃、身悶えしながら勤しんでいるでしょうね。

ミオは言っても詮無き事と、忠信をせずにおいた。


「ドクター。 様子はどうだ? 異常は無いと思うが 」

医療区画へと入り、状況の説明を要請する。


『マスター、おはよう御座います 』

女医ドクターは二人に一礼すると、虚空へと工程表を映し出し現状報告を行う。

『この様に経過は良好です。 毒物の排出は滞り無く完了し、現在は再生工程が進行中です。

この様子なら、明日の昼頃には再生工程が終了できるでしょう。

明後日の昼前には、通常のベットへと移動が可能かと思われます 』

「分かった。 揺り籠から出た後の準備はどうだ? 」


『病室は準備出来ておりますので、何時でも移動が可能ですが、ナースユニットの使用を推奨致します。

それと、リハビリについてですが。 プールでのリハビリを行ないますが、ユニットの追加をお願い出来ますか? バスユニットでは無理がありますので。』


「ナースユニットか…… 判った、その辺は任せるが、くれぐれもまともな奴・・・・・を覚醒させてくれ。 いいな! 」

『了解しました。 医療に長けたまともなユニットを選出致します 』


「プールについては小型の物を医療ユットへと連結しておく。 

明日用意しよう 」


ナースユニットか、これ以上出して問題は無いか?

ノリトは少し心配だった。

マザーの様に、自律型AIにも個性があるのだ。 

誕生後、人の様に様々な知識を吸収し成長をしてゆくAI達。人の世で普通と呼ばれる個体もいれば、特殊な性格をした者もいる。

まあ、人と同じで非常に個性豊かと言える訳だが。

流石に犯罪者の様な危険思想な者は皆無だが、立場上軍属という範疇の者達なので戦闘等も問題なく行なえる。

と言うか、ノリト達の部隊の相手をするのだから普通まともな訳が無いのだが。

その辺を良く? 判っていないのがノリトである。

いたく真面目な性格をしていたがために、そういった特異性を持った者達の機微に疎いのだ。 まぁ、それだけに・・・・・疎い訳では無いのだが…… 。


「ミオ、どうした? そんな難しそうな顔をして? 」

ノリトはミオの苦虫を噛み潰した? と言うか、微妙な表情に気付き疑問を口にする。


「……うん。 なんでも無いよ。 女性の介助だからね。 ドクターだけと言うのは問題かも、一人は追加した方がいいと思うよ。 

それに、2週間もすればフローラさんの治療も終るでしょ、他の事に従事させてみたら? 例えばだけど、ゲオルグさんと相談して治療院を開所したら?

魔法の世界と言っても、欠損部位の再生は簡単じゃ無いでしょ。

生活基盤として収入を得るのなら、いいと思うけどね 」

それに、今更言っても無駄だろうし…… 。


「そうだな、確かに幾つか考えはあるが…… 治療院は考えていなかったよ。

今日の用事が済んでから、その辺も相談してみよう 」

ノリトが、フムフムと顎に拳を添え頷いていた。

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