過去からの手紙

第84話 妖魔相手の方が気が楽とは……

「ところで、半蔵の準備はどうだ? 」


「明日の朝には終わってるわよ。

でも、この世界のコはファンタジーよね。 角と羽があるんだって! 」


「角に羽がある!? 」


「そうよ。 いったいどんな生態なのかしらねぇ 」


「おい、希少種とか言わないよな!? 」


「えぇ!? いやぁ~そこまでは分からないわよ 」

ミオの目が泳いでいる?


「まあ、明日になれば判るだろう。 

どうせ目立っているだろうから、今更だしな 」


「所で、今朝の答えを聞きたいんだが! 」

ノリトは腰に手を当て傍に寄ると、座っているミオを上から覗き込んだ!


「にゃ!? にゃにをぉ!? かなぁ?」

冷や汗を掻きながらノリトから目を逸らした


「分かっているだろ! 確かめた・・・・の意味だ 」


「にゅぅ! し、知らないのだよぉ 」

目が挙動不審だ!


「正直に言わないと、フルコースだが 」


目が…… マジだ!

「チ、チョッと味見しただけだよぉ…… 」


「なぁ!!? おまえ! 何を! 」

ノリトは赤面して一歩後退ったあとじさった


「だ、だってぇ…… 何時まで待てばいいの? 」

ミオが涙目で訴える


「そ、それは。 こ、この身体じゃ…… 応えられないだろ 」

今度はノリトが冷や汗を搔いている!


「じゃぁ! 何時まで! 我慢すればいいのよぉ! 」


「い……いや…… 」

二の句が継げない、分かっていた事だが、これは…… この展開は不味い!


「…… 女にだって…… 」

ミオが呟く


「…… はい? 」

尾を踏んでしまったか!?


「女にだって、性欲は有るんだぞ!! 性欲が無いのはノリトだけだ!! 」

ミオは急に立ち上がり、ノリトを突き飛ばしながら


「おい! 」

ミオが、泣いているのか!?


「もう寝る! オヤスミ…… 」

そう言い捨て、部屋を飛び出て行った


一人残されたノリトは椅子にボスン! と腰掛放心状態だ!


あぁ…… 参った。 

まさか、この展開は予想してなかった……

気持ちは…… 判ってはいるが、受け入れられるかは別だ。

ましてやこの身体じゃ…… 。

それに…… まだ、戻る訳にはいかない。


性欲かぁ…… 無いわけじゃ無いんだがなぁ。

こんな借り物の、紛い物の身体で良い訳が無い。

ましてや、作戦行動で他の女を……

同じにしたくは無いんだがな、この想いは分かっては貰えないか…… 。


だがなぁ…… どうする?

これから押し倒しに行くか…… 

いやいや! それは、不味いぞ!

非常に良くない! 今までの苦労が水泡に帰す!


だがなぁ…… 泣かれたぞ。

あのミオが泣いた……

堪えるなぁ……


この世で一番手強いのは、間違いなく惚れた女だよなぁ。

無角鬼ゴブリン所か、三星鬼トライデーモンなんか目じゃないぞ!


はぁ、妖魔相手の方が気が楽とは……

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