第58話 驚きの声を上げ立ち上がる

『なに! 見るだけで、調べる事が可能と申されるのか!? 』

ゲオルグが驚きの声を上げ立ち上がる


「はい、仕組みは…… そうですね。

フローラ様の診察と同じですね。

私の機能の一つですよ。 

接触する事無く残留した・・・・モノを調べる事が可能です。

時間もそれ程必要としませんので何時でも構いませんよ。

ただ、他国への証拠能力は無いとお考え下さい。

この様な能力を信用しては貰えないでしょうし、裏付けを求められたら……

墓所を暴く事に発展しかねませんので。


それより、他のお話をお聞かせ頂けますか? 

そちらの方が重要度が大きそうですが 」

ノリトは先の説明を促す。


『うむ、そうであるな。 時は有限である、話を進めよう 』

ゲオルグはアイギスへと先を促した。


『エストの母親の事と申したが、その辺をお話する前に、少しこの大陸事をお話しましょう。


 この大陸にある国家群では、基本的・・・に戦闘による侵略行為を禁じています。

と言っても、二十年ほど前の戦闘を最後に、国家間で取り決めた条約によるものです。

しかし、遵守せねばならぬと言っても守らぬ国は出るでしょう。

その様な場合には、当事国以外の国より騎士と魔法師を選出した監察軍を組織し、仲裁または戦闘へ介入します。

とは言え、現在までの二十年間で、その様な事は起こってはいないのですが。

ここまでが国同士の表向きの関係になります 』

ここでアイギスは言葉を切り、ノリトの様子を窺った


話を聞いた限りでは監察軍とは、昔の国連軍の様なものだろうと想像した。

戦闘当事国とは、あの場所で言っていた事から察するに、

「宜しいですか? 二十年前に戦闘を行なった国家とは、この国でしょうか?

そして相手国は…… ギレン法国では無いですか? 」



『そうです。 この国と、相手国はギレン法国でした。

そして、その戦闘の切欠となったのがエストの両親なのです 』


「彼女の両親が…… どう言った経緯かお教え願えますか 」


『無論、そのつもりです。

その話に関連して、各国間で行なわれる祭事・・についてお話しましょう。

 この大陸では、年に一回、各国持ち回りでの闘技会を開催しておるのです。

それぞれの国で予選を行い、上位者のみが本戦へと出場します。

闘技会は騎士・魔法師と複合の三種で競われるのですが、参加者は出場する際に生死を問わずとの契約を行ないます。

無論、殺戮を目的としたものでは無いのですが、稀に死者も出ることからの対策ですな。

例え名目上であっても、各国がそれに同意した事が重要になるのです 』


「闘技会ですか? 参加するのは大陸全ての国なのですか 」

ノリトは疑問に思った。

なぜその様な祭事があるのだろうか? 地球で言うオリンピックの様な物だろうかと。


『全ての国になります。 

まあ、元々は神への奉納の儀式だったと記録されております。

創造神であるフレイ様は戦神いくさがみと伝えられており、国の繁栄など様々な事を願い、演武を奉納していたと記録がありますが、それが何時しか闘技会へと変っていったのでしょう。

ある時代では、闘技会を国同士の戦争の代わりとした時代もあったようです。

現在は娯楽の部分が大きいのですが、昔からの因習か国の戦力の誇示や色々な思惑が渦巻いてもおるのです 』

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