第49話 しまったな、 連絡方法を聞いていなかった

 ノリトは、ゲオルグ達と面会するために、誰にその旨を伝えれば良いのか迷っていた。

「しまったな、 連絡方法を聞いていなかった 」

流石に、案内無しで城内へと入るのは不味いだろうと思う。

昨日此方の世界へと現われた、怪しげな能無し・・・の身分だ。

卑下する訳ではなく、今の状態は所属がハッキリしておらず、敵か味方かも不確かな者である。 そんな者が王城をうろついては放って置く筈は無い。


恐らくだが、何かしら…… その様な部署・・の人間が、今も見張っている筈である。

痛くも無い腹を探られる愚行は犯したくは無い。

此方に敵意が無くとも、どう言う風に取られるかは「相手の心持次第」であるのだから。


 一番の手段は、アルフォンス達へお願いする事だが、二人は母に寄り添って居たいだろうと慮ったおもんばかった

 実際、フローラの病状が悪化し、この数ヶ月は面会をさせて貰えては居なかったからだ。

 ゲオルグは、日に日に痩せ細っていく母親の姿を二人には見せたくは無かった。

それは、母の願いを汲んでの事でもあったのだが。

醜く病んでゆく姿を見せないで欲しいと、フローラから懇願されていたからである。

 

 ノリトにも覚えがあった。

愛する人が病魔に犯され、やせ衰えてゆく……、それを目の当たりにする事は辛い物だと知っているから。


そんな思考に囚われていたら、不意に背後から声を掛けられた。

『ノリト様、お時間を頂いても宜しいでしょうか? 』

人に聞かれぬ様、何かしらの魔法を使用したようだ。

自分と彼女、エスト・F・ライオットを包み込む様に、淡い光の様な物が感じ取れたのだ。

「これは、魔法ですか? 」

エストへと向き直り、理由を確認した。


彼女は一礼しながら、理由を告げる

『はい、申し訳御座いません…… 

城内のモノ・・に聞かれる心配がありましたので。

お二人・・からの指示に御座います 』

やはり、内部に病巣を抱えているのか?


「構いませんよ。 その方が良いと自分も思いますので。

丁度お二人・・・に御相談があったので、此方としても都合が良いです 」


『ご理解頂き有難う御座います。 では、ご案内致します 』

ノリトはエストに案内され、ゲオルグ達の元へと向かうのだった。


当然、ミオへは次元通話・・・・で行き先を伝えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る