第40話 アイギスはノリトを一目見て驚きの声を上げた。

 朝からバタバタした状況に、ノリトは眩暈が……

その時、入り口から声が

『ノリト殿は、こちらですかな? 』

どうやらアイギス殿が迎えにみえたらしい、


「おはよう御座います 」

そう挨拶をしながらノリトが出迎えると


『アー!!?…… いや、そんなバカな…… 』

アイギスはノリトを一目見て驚きの声を上げた。


「ああぁ! アイギス様、ノリトですよ 」

ミオは空かさずフォローする。


「アイギス殿、前もって御説明しておけば良かったですね。 

驚かせてしまい、申し訳御座いません 」

ノリトは申し訳無さそうに、頭を下げる

 

『あ……ああっ、 ノリト殿であったか、流石に驚いたな…… 』

アイギスはぎこちなく返事をする、だが、その目はノリトの顔をまじまじと見ていた。


「診察をするにあたって、あの身体では驚かせてしまうかと思いまして。

この身体は、本来の身体を模して造りだした人造人間アンドロイドと言う物です。

特殊な意識移送装置を使って、あの身体から意識を接続しているのですよ 」


ノリト達のいた世界で言う特殊な意識移送装置は、波動変換転送技術ハーモニックトランスレーションと呼ばれ、波動結晶アイテール クリスタルにより「精神体」を「波動に変換」し各種躯動体に内蔵された「波動受容核」へ転送、「駆動体を意識操作する」事を目的に開発された物だった。

その技術を総称して「フレイムワークス」と呼ばれていた。 

その「フレイムワークス」の技術を応用し、ノリトが開発した人造人間アンドロイドへ精神体を接続し操作をしているのだ。


『そうでしたか…… 流石に驚きましたが……

準備が宜しければ、バラ園にご案内いたしますが 』

アイギスの様子が少しおかしいが、ノリトは気にせず了承を伝える


「はい、準備は出来ていますのですぐにでも大丈夫ですよ 」

そう伝えると、アイギスに連れられ移動を開始する。


「シャルル様、アイギスさん…… 何かおかしいですよね? 」

『ミオ様、そう言われれば確かに…… 変ですね? 』


    ◇    ◇    ◇    ◇


バラ園の横には平屋の離れがあり、その脇が広く空いていた。

『こちらになりますが、大丈夫でしょうか? 』

アイギスがノリトへと尋ねた


「これだけの広さがあれば問題ないですね。 

後ほど、バスユニットもこちらへと移動しておきます 」

そう言うと、ノリトは空いたスペース中央に立ち広さを再確認する。


「問題ないな、これなら研究所位出せそうだ。 じゃあ準備をするか 」

そう呟き、メディカルユニットなど複数のユニットを虚空より出現させた。


『何度見ても不思議な光景ですね? 』


「そうね、使い初めの頃は慣れなくてね、変な所に出して怒られたわ 」


「それはお前だけだろ! 

これは、置いてさえしまえば、後は自動で調整しますから放っておけるのですよ。

そう言う訳で、準備は整いましたが、どうしましょう? 」


ノリトの問いかけに、アイギスは一瞬考え込んだ。

予定よりも少しばかり早いのだが、問題はないだろう……。

ただ、陛下の驚く様が目に浮かび、少し心配になる。


『そうですか。 では、ご案内いたしましょう 』

一拍の間の後に、ゲオルグの元へと向と告げられたのだが、

ノリトは、アイギスの表情が気になるのだった……




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