第32話 綺麗…… 宝石箱のようです 

『綺麗…… 宝石箱のようです 』

シャルルは、その夜景を見て感嘆の声を上げる


が、次の瞬間ある事に気付き!?

『……へぇエェ~!? いつの間にか外に!? 』

と、湯に潜ると、辺りをキョロキョロと見回した。


「ああっ!? 驚かせちゃったわね。

これは、絵が映っているだけよ。

外じゃ無いから安心して 」


「そぉおぉ、なのですか? …… 

この風景は絵なのですか?

絵が動いている様に思うのですが…… 」


「厳密にはでは無いの。 

説明が難しいのだけれど…… 」

説明が…… これは丸投げが一番!


「ノリト! 説明してあげて 」

ミオはノリトへと、マイク越しに丸投げした!


「やれやれ、 

これは動画記録・・・・と言って、物の動きを記録して、その様子を保存し、好きな時に見るための技術になります。

シャルル皇女殿下、この世界には写真・・と言う物はあるのでしょうか? 」


『写真はあるのですが、非常に高価な物で、広くは知られてはおりません 』


「ありがとう御座います。

写真があるのであれば、説明がし易いですね。

これは、景色などを連続して写真で記録した物を、連続して表示しているのです。

1秒間に24枚程度の写真を連続で表示すると、この様な連続運動の再生となり、あたかも、景色が動いているように見えるのです。 」


『連続して写真を!? 私の知る限りですが、簡単に連続撮影が出来る物では無いと思ったのですが……

ノリト様の世界では違うのですか? 』


「はい。 私達の居た世界では……

そうですね~ 親指程の大きさの写真機もあります。写真機の事をカメラと言うのですが、連続写真も撮影出来ますね。

それこそ、一日中連続写真を撮影が可能ですよ 」


『本当なのですか!? もしや、その様な事がノリト様は出来るのですか? 』


「はい、出来ますよ。 写真も連続動画も記録は可能ですが? 」


『お、お願いがあります。

では、お母様を…… 

お元気になったお母様と一緒に、写真を……

撮って頂きたいのです 』


「シャルル皇女殿下? 元気になった? と仰いましたか 」

ノリトは聞きなおした


『はい、 今は臥せっておりますが……

きっと、お元気になります。

なので、その時にはお願いしますね 』


「はい、承りました 」

ふむ…… 少し確認が必要ですねかね。


「あっ! そうそう。

写真と言えば良いものがあるわ!

え~とぉ、フォルダー……

確か……此処かな? 

おおぉ! あった! 

表示っと! 」

ミオは、虚空へとウィンドーを表示し、複数のフォルダーから探し物をしている。

ノリト達二人に装備されている、記録端末の補助機能である。


夜景を写していた壁に、一枚の写真が表示された。

そこには数人の少年少女達が写っていた。

年の頃は一八歳位だろうか?

みな笑顔で…… 写っているが、中央の少年だけが困り顔であった。

両脇に美しい少女がいた。

二人の少女は張り合うように、その少年へと抱きついているのだ。


「おい! 」


「いいじゃない! 私も見たかったの!」


『真ん中の人がノリト様で、右がミオ様ですね 』


「判るの? 私は兎も角、ノリトはねぇ 」


『判りますよ! だって、今と同じ顔・・・・・ですもの。

幾ら知り合ってすぐの私でも、見間違えませんよぉ 』


同じ・・? 」


「姫様…… 」


『いへゃぁ!? い、言い間違えましたわぁ!

み、皆様のリーダーなら、 ちゅ、中央に居るのが……

当然ですわよねぇ。 ミオ様は、今と余りお変わりありませんし……

た、唯の……感ですわよ 』

シャルルは慌てて訂正をする。

手遅れだとしても、知られる訳にも、認める訳にはいかないのだから……


「ミオ、 冷たい物を用意しておくから、程ほどにして上がってくれ 」

 

シャルルの一言へ、ノリトもミオも追求はしなかった。

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