第31話 ふぃ~っ! やっぱりお風呂よね~ぇ!
「この、木桶を使って掛け湯をしてから入ってね。
後、タオルは浴槽へ入れないのがマナーよ 」
三人は掛け湯をすると、ゆっくりと湯船へと脚を入れる。
初めての二人は、恐る恐るゆっくりとお湯へと浸かった。
「ふぃ~っ! やっぱりお風呂よね~ぇ! 」
ミオはやっと一心地着いたのか、親父臭く呟く
『こ、これはぁ~ぁ! ふにゃ~として、 気持ちいぃですねぇ~ 』
シャルルも初めてのお風呂に顔が蕩けていた
「ぉ、お風呂…… 初めて湯に浸かりましたが……
先ほどのシャンプーやリンス、液体石鹸など……
一度知ってしまうと、これは戻れないと思います 」
「そうでしょ~! 私達の居た世界では毎日お風呂に入るの。
後、旅行に行って温泉というお風呂に入るわね 」
『温泉?…… 旅行の目的がお風呂ですか? 』
「そうよ、今日の湯は…… 温泉みたいだけど、何処の湯かは判らないわね。
ちょっと、まってね 」
そう言うと、虚空へと問いかける
「ね~ぇ、今日の湯はナァニ~? 」
「今日は、伊豆の沿岸部にある
泉質は含塩化土類食塩泉で、神経痛、関節痛、筋肉痛、リウマチ、冷え性、疲労回復など に良いらしいぞ 」
『ひゃいぃ!? ノ、ノリト様ぁ!? 』
シャルルは突然の声に、あたりを見回す!
「ああっ、 御免、驚かせちゃったね!
声だけだから安心して。
この施設内は、音声通話が可能なのよ。
別に、覗いていた訳じゃないから安心してね 」
『はいぃぃ……ブクッブクッブクッッ 』
と恥ずかしさから湯に顔を漬けるシャルルだった
「じゃぁ、驚きついでに、景色を換えるわね 」
ミオはそう言うと、音声指示を出す
「良い景色の…… 夜景の綺麗な温泉のお薦めはある? 」
そう問いかけると、
「これなんかどうだ? 夜景が見える温泉で有名だが 」
その声が消えたと同時に、壁面と天井の壁が消え去り、無機質な壁から煌く夜空が現れた!?
その景色は、とある温泉より見られる夜景であった。
ただ、残念な事に、今の地球では見る事は叶わない。
数十年に渡る戦火により、幾つもの絶景や世界遺産と言うものが失われた。
地球統合政府は其れ等を、後世に遺すべく画像や設計などの記録を取り、各種データとして残したのだ。
「綺麗でしょ。 あの光の全ては、人が住んでいる家や街の灯りよ…… 」
ミオは、過去の情景に言葉が詰まってしまった。
失った物は多く、守れぬ物も多かったのだから……
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