第4話 この二人は只者では無いと。

この一連のやり取り、外に控えし王直下の騎士の存在を看破する技能、そして駆引きと。

何よりも、この様に異常な事態であっても取り乱す事無く、周りを観察する余裕すら窺える。

立ち振る舞いも、堂に入ったものであった。

自身に対する言葉遣いも、わざと・・・乱暴にしている節があった。

(騎士達を試しているのか? )

王は思う、この二人は只者では無いと。


「ぐぬぬっ!! 言わせておけば。 無礼千万!! 」

一人の騎士が、顔を赤らめ、憤怒の表情を見せる。


は、王に肩を竦めて見せ、害意は無いと伝える。

流石と言うか、そのジャスチャーだけで判ってくれた様だ。

( ……それにしても、この部下達はいただけないなぁ )

陛下が気の毒に思えてきた。


「先に無礼をはたらいたのはどちらかな? 」

は言葉を発した騎士へと向き直ると、問うた。


「ぐぬぬっ!! ええいっ!、ソコの鎧の男! 

陛下のお話を拝聴するに、ヘルムを脱がぬとは何事か!!

さっ、先に無礼をはたらいたのは……おっ、お前であろうがっ!! 」

赤ら顔の騎士が、指先をへ向け指し示しながら怒鳴り散らす!


「そうだ! 無礼にも程が有るぞ! 」

「さっさと そのヘルムを脱がぬか!! 」

「身の程を弁えぬ愚か者め! 」

騎士達が口々に声を荒げ、捲くし立てる!


「う~ん。 それを言われると、困りましたね 」

は困った……。


「え~っ…… それ、脱げないでしょ! 」

女も・・困った……。


「おい! 聞こえぬのか? 」

「さっさと、そのヘルムを脱がぬか!! 」

更に数名の騎士が同調し捲くし立てる。


『……もう、よさぬか! 』

王は呆れていた、騎士の質の低下がここ迄酷いとは思ってはいなかったのだ。

傍に付く神官長も、その状況に眉間を押えていた…… 

恐らく、普段より気苦労が絶えないのであろう。


王は思う、王直轄の聖騎士の質は当然高いのだが……

王都の騎士団へは、色々とテコ入れが必要だと、後の事を考えると溜息が出そうだった。


「へ、陛下、ですが…… 」

他の騎士に比べ、立派なプレートアーマーを纏いし者が、不満を滲ませた声色で王へと伺う。


この男が騎士団長だろうか? 

なぜ部下を抑えないのか…… は疑問を抱く。


ハラハラとしながら様子を伺うをよそに、は王へと言葉を投げかけた。

「陛下、よろしいでしょうか? 幾つか訂正をさせて下さい 」


王へと断りをいれが続ける

「まず、私のこの姿は鎧、甲冑の類いでは無く、私の自身の身体です。

したがって、ヘルムと言う物も無く、これが私のであり頭部・・ですので。

そちらの騎士? の方ご要望にはお答えし兼ねますが 」

は悪びれずに言い退けた。


横でが思わず吹き出した!?

そして、小声で呟く。

「おい! 笑わせるなょぉ! 」と。

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