第四章 ワイバーン討伐(6)
「まぁた、文句か? いいから大人しく待ってろよ」
……親父……?
「かあ、もう。どうせまた帰ってくるから、な」
だから……だから、帰ってきてもまたすぐ出ていくだろうが。むしろ…親父の家は向こうにあるんだろう! 家(ここ)なんてただの休憩所ぐらいに思っているんだろ!
「何を言っているんだ、お前は。ここは俺の家だろうが」
ハッ!? ここはあんたの家なんかじゃねえよ! 俺と……母さんの家だ! ほとんどこの家にいないくせに自分の家ズラするな!
……夢なのか……また、親父の夢……冗談じゃない。虫酸が走る。
でも、ここどこだ? 体が熱い。もの凄く熱いもので体が包まれている感覚。でも、なんだろう、どこか懐かしい気分だ。すごく……心の奥が熱くなってくる。って、あれおかしいな、涙が出てきそうだ。ああ……母さん……俺の街……懐かしく今すぐすべて抱き寄せたいという衝動にかられていく。だが、一向に腕を掻こうがなにもたぐり寄せることができない。
そんな不思議な感覚があったあと、少し意識が戻ってきた。
って、あれ? 俺、どうなったんだっけか? そうだ、ジンの炎に俺、包まれたような……。ってことは、俺……死んだのか?
「おぅ、大きくなったなぁ……」
……はぁ? なんだよ……いきなり……。って、親父かよ。今さら俺の前に顔をだすなよ……ってそんなわけないか、あんたが『大きくなったなぁ』なんて臭いセリフ言うはずもない。
「ふっ、相変わらず頑固だな」
ああ、もう、うるさい、うるさい、うるさい! 俺の前から消えろよ! 消えろよ、親父!
ああ、もう。懐かしい気分に浸っていたのに台なしじゃねえか、畜生! あんたがいるせいですべてがムチャクチャだ。あんたのおかげで俺の楽しいひと時もぶち壊しだ!
「だったら俺がいなくて正解じゃねえか。言ってること、矛盾してるぞ」
かぁああああ、もう。黙れ!
黙れ、黙れ、黙れ、黙れ!
消えてなくなれェエエ!!!
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