第25話 ラフムたちの脅威
装甲車両をA区にある施設の前に止めるとへ班員は通信機を手に報告を行う。
「こちら救助班 班長アドラ=ヴィルトですシェルターへ到着したこれより救助活動を開始する」
「了解、迅速に頼む」
副官とともにいる通信班の一人が短く答え、兵は小さく頷(うなづ)く。
「了解、…… アル、ノルトはいつでも発進出来るよう待機。アナス、ジウス、アネルは俺に着いてこい。その他の周辺の警戒を」
「了解」
彼はそばの入り口から周囲を警戒しつつ、懐中電灯を手に薄暗い通路を照らしながらゆっくりと階段を下っていく。
班員もマシンガンを手にして後を付いていく。
そして通路の先、人が集まっているという広間の扉をノックして室内の人間に聞こえるよう大きな声で言う。
「すみません。自分は陸軍所属アドラ=ヴィルトです。あなた方の救助来ました。ここを開けて下さい」
それからしばらくして扉が開き、班員は落ち着くよう広間にいる皆に言いながら負傷者の中でも酷い人の治療を行い、そんな彼らや年配者を優先して車へと乗せていく。
「落ち着いて、静かに行動をお願いします。負傷者の方は右へ、ご年配の方々は左の車両へお願いします」
「おい! まだなのか!?」
兵達がしっかりとした対応で民間人を列車へと運んでいく中、一人の若い男性が指示を行うアドラの元へと近付いていき、彼の肩を力強く掴む。
「お、落ち着いて下さい。ちゃんと順番に皆さんを連れていきますので」
「そう言ってもう何分も経っているだろうが!」
「ですから落ち着いて下さい。奴等が来てしまいますから」
二人がやり取りを行っているとラフムがその声を聞きつけ、一体のラフムが襲いかかったきた。
「うわぁ‼ ば、化け物!!!!」
「チッ――アナス、ジウス、お前たちは民間人の護衛を、アネルはこの人を施設の中へ! 他の者たちは俺に続け!」
「了解!!」
民間人のいる位置を背に兵たちは手に銃を構え、ラフムに向けて発砲する。轟音とともに放たれたアーマーピアス弾がラフムの皮膚を貫く。
しかし奴は足を止めることなくこちらへと走ってくる。
「クッ、音響弾を使用する! 各員耳あてを行い、民間人の皆さんは耳を塞いでください!」
そう言って、アドラは腰に引っ掛けてある音響弾を取り外し、ピンを抜き取るとラフムの足元へ投げ、音に備える。
小さな光が出るとともにと耳を劈(つんざ)く音が周辺に響き、その音を間近で聞いたラフムはその場に倒れ、ひるむ。
そのうちに兵士たちは倒れた化け物を囲み、アーマーピアス弾を装填(そうてん)したマシンガンを構えるとラフムへ向けて引き金を引く。
――キイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!
無数に撃ち込まれた弾丸によってラフムは甲高い断末魔上げると目とおぼしき二つの赤い光がゆっくりと消えていく。
「クリア! ……皆さん安心してください。落ち着いて順番に車両へお願いします」
化け物を倒す兵士たち。
その姿を見て人々は兵の言葉にしっかりと従って行動を再開した。
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