第26話 ラフムたちの脅威②
「ラフムを視認!」
「よし、みんな耳当てはつけたか?」
「はい!」
「すぐに接敵だ。武器の準備は?」
「マガジン装填、セーフティー解除。準備万端!」
「よぉしそれでは音響弾構え! 放て!」
班長の合図とともに弧を描き、飛んでいくグレネードが地面で破裂。甲高い音が辺りに響き渡り、ラフムが音の出所へと集まっていく。
「あれが、ラフム……」
「脚は蜘蛛みてぇだな、気持ちわりぃやつだ」
A区内に到着したアーデルベルトたちは快装車両から出ていくと手にしたマシンガンを構え、引き金を引く。
ズガガガ――と炸裂音が幾度も響き、飛んでいくアーマーピアス弾。
それはラフムたちの頑丈な皮膚を貫き、炸裂、敵の内部をズタズタに傷つける。
轟く悲鳴に断末魔、それを聞き付け、新たなラフムが集まってくる。
「急げ! 急いで立ち止まるな! 移動しろ、動きながら敵の攻撃から身をまも――」
後方から飛びかかってきた一体のラフム。9班のリーダー、ホルスは素早く銃を構えて引き金を引くが、ラフムは構わずに飛びかかっていく。
胴体部分から突出している部分がパックリと上下に割れて、牙のような鋭利な刃が複数本、その中から姿を見せる。
「うわぁぁ!!」
避けることは間に合わない。
リーダーの首を噛み千切ろうとしたまさにその瞬間。爆弾のような大きな音が後方から響き、大型の弾丸がラフムの頭部を吹き飛ばす。
赤い瞳のように光る球体が地面で砕け、同時にリーダーが尻餅をつく。
ゆっくりと後方を確認するとそこにはアーデルベルトが立っていた。黒鉄(くろがね)のアームには大型のリボルバーカノン《プァイファーテェリスカ》が握られており、その銃口が先程リーダーの顔のあった辺りに向けられていた。
――あれが、ラフムを吹き飛ばした銃……なんてとてつもない威力なんだ。
「ふむ、博士の言う通り、確かに反動は最小限に抑えられるようだ。肩や胸元にまで装甲をつけたのにはしっかりと意味があったみたいだな」
かつてラフムによって千切られた腕。その代わりに軍の博士が用意した義手にアーデルベルトが感心をしていると更にラフムが近づいてくる。
それに彼は素早く気が付くと次はこいつ、と肩に掛けていたジャイロ・ジェット・マシンガンを素早く構えると照準を合わせて引き金を引く。
先程と同じ、爆弾のような大きな音が連続して響かせながら放たれた600neタイプの大型の弾丸がラフムの体内へと沈み込み、その衝撃で奴らを吹き飛ばす。
「すごい……」
「流石アーデルベルトさん」
その姿に感動すら覚えた兵士たちは彼に見とれ、中には小さく呟く者もいた。
「気を抜くな! 敵はまだいるぞ!!」
アーデルベルトは周囲の反応に対して一喝し、その声に反応した兵士たちは慌てて周囲の警戒を再開する。
その間にもアーデルベルトは手にした大型のマシンガンによってラフムを次々に仕留めていく。
そして彼は油断することなく、少しでも動く敵に対して容赦なく弾丸を撃ち込む。
そして僅か数分後に周囲に集まって来ていたラフムの群れは一掃され、彼は息を切らすことなく、空になった弾倉を腰のポーチから取り出すと背負っているバックから新しい弾倉(マガジン)を取り出し、消費した分のマガジンをポーチに詰めていく。
「リーダー? 班長? ホルス・アルター」
「は、はい!」
「君は班の指揮を任されているのだろう?」
「はっ申し訳ありません。各員報告!」
「ラフム完全沈黙。西側道路異常なし!」
「同じく東側道路異常なし!」
兵士たちの声を聞き、周囲に敵がいないことを確認すると彼らは車に乗り込んむと後方からロープに繋いだ空き缶を引っ張っていき、大きな音を立てながら移動を開始した。
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