第23話 作戦 開始前
会議が終わり、アーデルベルトは腕に身に付けている腕時計の時間をかくにんする。
「12時27分か…あと23分あるな、用意するぞフェイク」
「・・・」
「……?」
ファイクからの返事がなく、不思議に思ったアーデルベルトが振り向くと彼はうつむいて震えていた。
「おい!」
と声を上げながらファイクの肩を揺らす。
「はい!」
とファイクは驚いたように大きな声を上げ、アーベルベルトは落ち着くようなだめる。
落ち着けと冷静に言うアーベルベルトにファイク震えたた声でアーデルに質問した
「アーデルベルトさんは……あの化け物が怖く、無いんですか?」
「俺だって怖いできれば一生会いたくないくらいな、だが、守りたいものがあるだから軍人になった最初市民を国を護りたいと思い軍人になったそのうち護りたいと思うものが増えた戦友、家族……そいつらのためなら恐くても戦えるようにありたいと思ってる、俺は護りきれなかった男だかそうありたいと今も俺は思っている」
「そんなですか…やっぱり凄いです…ね。アーデルベルトさんはそんなこと思って軍にいるなんて……」
「お前は違うのか?」
「自分は……軍人になった方が良いだろうと、そんなことを思って入りました」
「そうか……安い理由だな」
「ぐっ……」
「だが、理由は大事だ。少なくともなんの理由も無く、行動するのは大抵の場合割に合わない。俺はお前を信用する気はない」
「えぇわかってますよ。あの時自分はビビって逃げてしまいましたから……」
「あぁそれを俺は許す気はない。……が、これから進む戦場は一人ではとうていどうにかなるほど甘くはない。だから俺を守れ、今だけは同じ班の戦友としてな。もちろん俺もお前を守る」
「はい……よろしくお願いします」
「……ふむ、後20分あるわけだが、まずは武装を見に行くとしよう」
「なら目的地は武器庫ですね」
二人は通路を進み、武器庫へとやってくる。
「おや、君は……アーベルベルトさんだね?」
「あぁ」
アーベルベルトがコクりと頷くと武器庫にいた女性兵士はニコリと笑みを浮かべてくる。
「ちょうど良かったです。今から貴方を呼ぼうと思っていたんですよ」
「俺を?」
「えぇ、貴方に分配される武器の確認と簡単な説明をと思いまして」
「ふむ、なるほどな」
「ほら入口に立ってないで君も中まで来なさい」
手招きをし、女性はファイクを中へいれると、さて、と一言言って歩き始める。
武器を立て掛ける台のみとなって並んでいる壁から残っていた銃と畳まれた服を手に取るとアーベルベルトたちの前にまで戻り、説明を始める。
「ここにある銃は作戦に使うものなのは言うまでもありませんね」
「ずいぶんと数がないようだが……」
「えぇ、もう数十分しかないですからね。他の方はみなさん配置に付いて待機していると思います」
「まぁ、それもそうか」
「ではまずこれが戦闘服です」
「バトルスーツ?」
「はい、これは9班10班に配られた名前のとおり戦うための服です。博士の作り出した特殊繊維によって薄い服のようで、対物ライフルの弾丸を防ぎきるほどの強度を誇ります」
「いや、だが……」
「えぇ、まぁ食らえば反動で体も意識も吹き飛ぶとは思いますのでまぁ気休め程度ですね」
淡々とそう言う彼女。……この作戦本当に大丈夫だろうか?
「次に銃火器についてですね。まぁ銃に関しては軍用として重宝された
「ふむ、パッと見はよくわからんがな」
「えぇ銃の見た目だけはですけどね。弾丸はこちらを使います」
そう言って彼女は箱をひとつ取り出すと中から弾丸を一つ指でつまんで取り出す。
「これは……アーマピアス弾じゃないか?」
「えぇさすがですね。敵はその皮膚が硬く生半可な弾丸では傷をつけることくらいしかできませんので。これは博士の作ったTHVB弾と呼ばれるもので対象物に当たって数秒後に炸裂します」
「なっ! 爆発するのか?」
「えぇ、弾丸が対象物に当たり、先端の金属がひしゃけることが爆発のスイッチになっていますので乱暴に扱わなければ大丈夫です」
「確かにそれならあの化け物もひとたまりも――」
「いや、これでも効くのか怪しいだろう」
説明を聞いてそう呟くファイクの言葉をアーベルベルトは否定する。
「えぇじゃあどうするですか?」
「さぁな……この弾丸は初めて聞いたものだが、これを使い、化け物たちの息の根を止めることが出来たのか?」
「えっとですね。この作戦が博士にとっての初めての大規模作戦なので……その」
「ない、ということか」
「はい。すみません」
「いや、君が謝ることはない。まぁせいぜい効くことを祈るとしよう」
アーベルベルトが銃を手に取ろうとしたところで彼女はそれを制止させ、奥の方から一丁の銃を取り出してきた。
「おい、これ」
「はあ、貴方が好きな銃だと言うことで博士が作っていました」
彼女が取り出してきたものは大型のリボルバープァイファーチェリスカ。
以前は飾りでしかなかったものであったが、腕に取り付けられた義手のお陰で難なく持ち上げられた。
「これに使用する大型のTHVB弾とホルスターです」
「まて、俺はこれだけでいくのか?」
「いえ、それからこのジャイロジェットマシンガンを使ってくれと頼まれました」
代わりの銃は無い。
アーベルベルトは与えられた武器になんとも言えない感情を抱いて、乾いた笑いをとった。
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