第3話「何処か間接が外れた日」
少し時間は巻き戻り、グロックス一家の話。
今日はグロックス・アーデルベルトの娘『ペネシア』の一歳の誕生日であり、妻『アルマ』との三度目の結婚記念日。
彼は家族での旅行もかねて街の東側に位置するここイスト通りに遊びに来ていた。
ここにはおいしい料理を出してくれる店が多く、おもちゃなどを売る店も多い。
遊びに来るには最高の場所だ。
家族水入らずの楽しい昼食を終え、食後のデザートという所でけたたましい警報が鳴り響く。
「また誤作動か……」
アーデルベルトはため息を吐きながら言う。
「早く鳴りやむといいですけれど……」
アルマが心配そうに言うとペネシアがアーデルベルトの袖を引く
「パパ、こわい」
あぁ……泣き出してしまった。
アーデルベルトはこんなときどうすれば良いのか分からない。
彼が対処に戸惑っているとアルマはペェネシアを抱きあげて
「大丈夫だよペェネシア怖くな~い怖くな~い」
そう言ったが、ペェネシア泣き止みそうになかった。
それを見てアルマはペェネシアの好物の御菓子であるタマゴボールをペェネシアにの顔の前に差し出した
「ホラ~~ペネちゃん~大好きなタマゴーでちゅよ~」
といったがペェネシアは見向きもせずに泣き続けた。
アーデルベルトとアルマは困り果てどうすればよいかと悩み、近くに少し早いけれど……と彼は立ちあがり
「アルマ、あそこの店に行ってくるから少し待っていてくれ」
と一旦ペネシアをアルマに任せてぬいぐるみ店へと足を運ぶ。
◇
「ふむ……」
ペネシアへのプレゼントをと思ったが、どれを買うべきか……
アーデルベルトが顎に手を当てて悩んでいると女性店員がこちらへと近づいてくる。
「何かお探しですか?」
「あぁ……そうだな。とびきり可愛いくて一番でかいやつを頼めるか?」
「そうですね……ではこのくまさんぬいぐるみはどうでしょうか? ふわふわでとてもかわいくて大きいですよ?」
「じゃあそれで頼めるだろうか?」
「かしこまりました プレゼントですか?」
と女性店員はニッコリと笑いながら言った。
「いいやちがう、今警報がなってるだろ? その音に怖がって娘が泣いてしまってねどうにか泣き止まそうとしたんだけど、なかなか泣き止んでくれなくてな。だから……この店でぬいぐるみを買って娘に渡したら泣き止んでくれないかと思ってね」
「ああ~なるほど、そう言うことならこの小さなくまさんぬいぐるみもつけときますね。あ、これはサービスなのでお代は結構です」
「いや、そうゆうわけには……」
アーデルベルトは困った表情で好意を断ろうとすると店員はそれらを袋につめて彼へ手渡した。
「いえいえ、私のささやかな気持ちですので、早く娘さんに渡して上げてください」
「そこまで言うならありがたく貰っておくよ。ありがとう」
と小さく笑いながらグロックは店を出た。
「ありがとうございました。今度は娘さんと来てくださいね」
「ああ……」
グロック頷くと急いでペェネシアとアルマのもとへと戻る。
「ほら、ペネシア……」
いまだアルマの胸に顔を埋め、ぐすっているペネシアの肩を軽く叩き、大きなくまのぬいぐるみを袋から取り出す。
するとペネシア泣き顔は笑顔へと変わった。
「パパ、ありがとう‼」
「あぁ……」
「良かったわね」
「うん‼」
アーデルベルトとアルマの二人はペネシアの嬉しそうな顔を見て笑った。
「さて、そろそろ家に帰えろうか」
「ええそうね。」
とアルマが言った、そして彼らは笑いながら帰った。
◇
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