【幕間】中学時代Ⅳ
玉子に初めて話しかけてから数日後、司は借りていた本を返した。
「どうだった?」
感想を問われ、司はしばし考え込んだ。
気持ちが悪かった。ときには吐き気がした。それでも全部読んだ。
玉子が貸してくれた本に書かれていた日本人の姿は――まさに劣等民族としか言いようのないものであった。
極度に残虐な趣味を持っており、性的に奔放であり、近親相姦を平然と行う人々である。強者には無条件で媚びへつらうが、弱者は徹底的に苛める民族である。日本が発展したのは
敦巻さんの言うとおりだったね――と司は言った。
「すごい反日で怖いね。韓国人はこんなものを信じてるんだね。」
玉子はそれから、様々な本を貸してくれた。
韓国の印象は次第に、民主的な北朝鮮へと変化していった。
韓国人は学校で洗脳教育を受けているのだと思った。少なくとも――気に入らないことがあれば何でも日本のせいにし、様々な文化の起源は韓国だと主張し、韓国は日本よりも中国よりも偉大な国であると主張する人々の姿を目にする限りはそう思えた。
司は、持っていたCDを全て売り払った。
かつて
中学三年生になってから間もないある日のこと、司はネットで、あの歌手グループの日本公演が中止になったという記事を目にした。理由は――彼女たちの着ていた服が旭日旗に見えるということで韓国国内から批判を浴び、来るに来れなくなったというものであった。
やはりこの人達も洗脳教育を受けた反日
掲示板には、当然ながら様々な罵倒
――詐欺じゃなければ中止にはならない。また金持って逃げたか。
――韓国を信頼する方がおかしい。あらゆることで信頼がない国。
――旭日旗の件は口実。本当は公演に来るやつなんかいなかった。
司はすぐさま次のように書き込んだ。
「こいつらまだ日本で商売しようと思ってたの? 本当に図々しい。嘘つき泥棒民族。チケット代返してもう二度と日本にくんな(^-^)」
書き込んだあとは、何度か自分の書き込みを読み返した。
しかしながら、なぜか突如として寂しい思いに駆られた。
その日以来、韓国に関する情報からは遠ざかっていった。
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