第14話 大失態

 朝が来た、 俺は起き上がり二人を見る。

「まだ寝ているか......矢代すごい格好だな、 

明日雨しんどくないのか」



 明日雨の上に矢代が寝ていたのだ、 俺ならすぐに気づき起きそうだ。 すると明日雨が目を覚ます。

「.....あぁ......あおはよう......てか重いわ!」

 そういい上に乗っている矢代を叩き下ろした。 その反動で矢代も目を覚ます。

「いてえなあー............あ! やっべ! 学校!」



 何やら急いだ様子で制服に着替え出す。

「おーい矢代ー学校はとりあえずないぞー」

「あっそか忘れてた!」

 矢代は動きをやめて再び布団に入る。

「矢代テレビ見てもいいか?」

 リモコンを明日雨に渡す。

「あいよ」

 そしてニュースを見る。


---


「この度は、 生徒達を怪我を負わしてしまい大変申し訳ございませんでした」

 校長と重量先生と小梅先生が深く礼をする。 記者からの質問が飛んでくる。

「敵の侵入に気づくことはできなかったのですか?」

 そのことには何も言わず礼をし続ける。 そしてそのまま何も言わずに退場していく、 その間も記者からの質問攻めだった。


---


「すごいことになってるな」

「ああ、 でもなんであんな大騒ぎになっていたのになんで誰も気づかなかったんだろ、 その場に先生もいたはずなのに」



 俺は出来事の後半しか知らない。 すると明日雨が俺の方を向き話す。

「そっかお前いなかったのか......最初大前の話で盛り上がってたんだけどよ、 いきなり窓の方からすごい音が鳴ったからそこを見ると、 変な奴が立ってて先生が攻撃を仕掛けるも瞬殺されてよそっから動けなくなってたんだよな」



 矢代も話に入ってくる。

「俺思ったんだけど先生弱くなかったか?」

(こいつもストレートすぎだな)

「能力持っていなかったんじゃないか?」

「実際先生が能力も持っていても状況は変わらなかっただろうな」



 さっきまで布団に入っていた矢代が服に着替え出した。

「矢代どっかいくのか?」

 俺たちが来ていた服を渡す。

「病院に決まってんだろ明日雨!」



 昨日行ってゆっくり話すつもりだったが検査により帰らされた。 そして俺たちも服に着替える。

 そして顔を洗い朝ごはんを食べて病院に向かった。

「いくぞー!」


---


(結局最後は倒れてて何もできへんかったなぁ......)


---


 病院に向かっている最中携帯が鳴る。

[ブー]

 俺だけがなったので二人ともこちらを見ている。

「彼女か?」

「誰からだ?」

 二人の顔は嫉妬にまみれていた。 俺はすぐに否定した。

「違う違う」

 そういい内容を見ると京川さんからだった。

『話したい事があるから足見駅に来てくれへんかな?」

(どうしたんだろ? てかどうやって俺の連絡先を!」



 二人が俺の携帯を除きに来た。

「誰からだ!」

「見せれるよね?」

 俺はすぐに携帯をポケットにしまった。

 そして二人に用があるからと言い駅に向かう。

「ごめん二人とも用ができたからまた後で!」



 今回は捕まらないように走った。

「なんだあいつ」

「やっぱり彼女か!」

「連絡くるだろうし俺らは行っとくか」

 二人は病院に向かう。


---


 駅は走って十分くらいで着いた。 おそらく京川さんらしい人がいた。

「あれか?」

(髪が長く黒色で背は低くて赤色の帽子)



 俺はらしき人にゆっくりと近づく。

「人違いだったら嫌だな」

 そう思いつつも名前を呼んで見る。

「京川さん?」

 すると振り返った。

「あ!」

 俺は冷や汗をかいた。

「え......すみません人違いでした!」

 俺は反対に走り出した。 なぜなら顔を見ると魚の仮面を被っていたからだ、 京川さんはそんな人じゃないと思い逃げた。

「まってえええ」

 俺のことを追いかけて来ていた。

「誰だよおおお」

「私だよ! 京川だよ!」

 それを聞いて俺は止まる。

「京川さんなの?」



 京川さんも追いつく。

「いきなり逃げるからびっくりしたよー」

(いやいや! 俺の方がびっくりするわ!)

 


 そして真剣な眼差しで俺を見る。

「ごめんないきなり呼び出して、 少し話したい事があって。」



 どこかに向かって歩き出す、 俺もそれについて行く。

「京川さん大丈夫なの?」

 そう聞くと笑顔で返してくれた。

「うん! おかげさまで!」


--


 そして歩いて俺たちは駅から近い公園に着いた。

「じゃあここで話そっか」



 そういいブランコに乗る。 俺も京川さんの隣に座る。

「話って?」



 少し間が空いたが話し出す。

「私あの後どうなったかわからへんの」



 いつも笑顔でいる彼女だが今回は泣きそうだ。 俺もなんて返せばいいか困る。

「あの後は京川さんのおかげで俺たちは助かって、 ほかのみんなもアジトにつき大前を助ける事ができた」

「ならよかった......やけど私はその時倒れてしまって何もできへんかった」



 彼女は倒れてしまい自分の力不足を知り、 自分が倒れたことにより迷惑をかけたことをすごい思い抱えている。

「実際倒れる間際に俺と増田に能力をつけてくれたおかげで無傷、 何もできなかったんじゃない」



 そういうと悩みが吹っ切れたように彼女は顔を上げて涙を拭っていつもの笑顔に戻る。

「ほんま風くんは流石」



 その時の彼女はとても可愛かった。

(どうすればいいんだ! キスか? 抱くか?)

 俺は女の人とあまり話すことがないから対応に困り俺は大失態を犯してしまう。

【彼女を抱いてしまったのだ】




 京川さんは無表情だ。

(やばいやばい、 やらかした)

 京川さんから意外な言葉が返って来た。

「ありがとう......ありがとう......風くんに助けられてばかりやほんまに......」



 すると俺から離れていつもの笑顔で言う。

「今日はありがとうな、 それと......抱いてくれてありがとう」



 彼女の顔はとても赤くなっていた。 そういい手を振る。

「じゃあまた学校で会おうね!」



 そう言って彼女は公園を後にした。 俺はすぐに京川さんにメッセージをおくる。

『京川さん本当にごめん! 抱いたこと本当に怒ってない?』

 俺はその文書を送ると顔が熱くなった気がした。 



 すると向かいから奴らが来た。

「おい! あいつこんなところでくつろいでんぞ! 明日雨能力使え!」

(やばいやばい!)

 そして俺は昨日に引き続き捕まってしまった。

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