第1話 スライムは道案内が出来るそうです?
暫く続いた鬼ごっこは私の勝ちだった。とても白熱した鬼ごっこだった。もう暫く鬼ごっこはしたくない。
あとひとつ学んだ。サンダルで全力疾走すると履物の中で滑って小指擦れる。メチャ痛い
「ゼェゼェ……っ。ンくっ、ぷはぁ〜!」
あちこち走り回り、私はゴブリンズをどうにか撒き、逃げている途中に見つけた川で水を飲み息を整えていた。水が綺麗かなんか知らん。透明だしおそらく大丈夫だ。
「しかしまあ、酷い目にあった」
そもそもここは何なんだ?小指の靴擦れが痛むし夢ではないと思う。
あるとしたら、ゴブリンが存在してるしアレか?最近よく聞く異世界ってやつ。私、転移しちゃった系?
「とりあえずこの森からどうにか…っ?!」
背後に気配を感じ振り向く。すると茂みに球体の青いぷにょぷにょした物体が居た。
「……」
「……」
またもや見つめ合う。いや、見つめあってる気がする?この青いやつ、目が無い。てか目だけじゃなくそもそも顔がない。
「……ぷにょんぷにょん」
「っ!」
青いやつはぷにょぷにょしながらゆっくりと私の方へ転がってきた。私は立ち上がりまた逃げようとした。
だって青いぷにょぷにょとか明らかに某モンスターじゃありません?あの仲間にして欲しそうに見つめてくるやつ。
しかしそれは私をスルーし、川にポチャンッといい音をたてて……入った?落ちた?
と思ったらなんかガボガボ言ってる……?え?溺れてるの?てか流されてない?!
「……えっ?ちょ!!?待ってぇ?!」
私は急いで青いぷにょぷにょ──恐らくスライム──を川から引きあげた。何故かわからないけどそうした方がいい気がした。
ぷにょんぷにょんぷにょん……
引き上げたスライムらしきやつは私の膝の上でなにやらプニョプニョしている。なんか可愛く見えてきたかも。
ぷにぷに、みにょ〜んみにょ〜ん……
「……うふふ……っは!!」
いかんいかん、思わず突っついたり伸ばしたりして和んでしまった。恐ろしい子ッ!
「お前、この森の抜け方知ってる〜?」
スライムらしきやつ──もうスライムでいいや。スライムにそう尋ねる。
ぷにょ〜ん?
膝の上のスライムは首──というか、この場合は身体か──を傾げ考える素振りをする。が、スライムだしなぁ。まあ無理か、そう思ったのだが……
ぷにょんっ!ぷにょっぷにょっ!
私の膝から勢いよく降り、少し離れたところで跳ねだした。
「え?知ってるの?そっち行けばいいの?」
にょんっ!
スライムは「任せろ!」とでも言ってるのかキリッとした……ように感じた。だって最初にも言ったけど顔無いんだもん、わかんねぇよ。
ぷにょ?にょんにょんっ?
何してんの?来ないの?ってな感じでこっちを見るスライム。
物は試し、ついて行ってみるか。どうせ現時点で迷子だし。
「今行く〜、待ってね〜!」
私はスライムに森を抜けるまでの道案内をしてもらう事にした。
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