第28話 本部長と主任-6

「お疲れ様です」

 本部長はコーヒーを手に部屋の中に入った。

「田川君も、昨夜は帰ったのか?」

「いえ、僕は。もうかれこれ一週間は泊まり込みです」

 残業がつくと良いんですが、と苦笑していた。

「なら、俺は疲れはないな。田川君の方が疲れているだろう」

 田川主任はとんでもないといった様子で両手を胸の前で振った。本部長はフッと笑って言った。

「冗談だ。だが、俺は疲れてはいない。仕事は仕事だしな。きっちりこなす。手伝ってくれよ」

「はい、最大限サポートします」

 本部長は溜め息を吐いた。

「まったく。公私混同もいいとこだ」

 田川主任は聞き返した。

「今、何か仰いましたか?」

「いや、こっちの話だ。さて、作業に取りかかるとしよう」

 コーヒーを一口含んだ。甘い味が口に広がった。

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