第22話 本部長と主任-5

「お疲れ様です」

 田川主任は本部長に挨拶をした。

「ああ、お疲れ。田川君は泊まりか?」

「はい。本部長もずっと働き通しじゃないですか」

 本部長はコーヒーを持って椅子に座った。

「俺は休憩も含めてだから、そんなにきつくはなかったな。電子コンタクトのおかげで進行もわかっていたしな」

「今は作業中です。ですが、少し異変が…」

「どんな異変だ?」

「異常ではないのですが、ここにこれが…」

 田川主任は人差し指でモニターを指し説明をした。

「ふむ。これぐらいならば支障はないだろう」

「そうですかね?」

「異変の規模も異常と言うには小さすぎる。これなら特に支障はないな」

「そうですか。良かったです」

 本部長はコーヒーを手に取り飲んだ。甘い味が口に広がった。カフェインで眠気を飛ばす。そのためにはコーヒーは必需品だ。

 最も、毎日飲み続けているせいか、効き目が薄くなってきたような気もしていた。

「今日も時間が掛かりそうですね」

「ここ最近、付きっきりだからな」

 もう一口コーヒーを口に含んだ。甘みと共に眠気が薄らいでいく。

「田川君も少し休んだら良い。後は、俺がやっておく」

「はい。お言葉に甘えさせて頂きます」

 田川主任は仮眠室へと向かっていった。

「世界のため…か」

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