3 政策

政策にも、他の文明要素との関係で、4つの区分があります。


経済・社会活動に直接働きかけて人々の利害を調整する、

いわば直接ルートとしての経済・社会政策、

政策の立案や実施、改善に必要な人材を確保する、

いわば間接ルートとしての人的資源政策、

制度・政策を立案・実施する組織内の予算配分や人材育成を行う、

いわば自助ルートとしての行政管理政策、

科学・技術の健全な開発や普及を助ける、

いわば互助ルートとしての技術的(いわゆるハード的)政策です。


文明発展の循環サイクルが繰り返される中で見られる技術の潮流トレンドは、

主力技術という、直接ルート内における主役の交代だったのに対し、

政策の潮流トレンドは、上記4つのルートが交代で主役を演じるものです。


しかしそれも後述のように、別の意味ではやはり難易度に応じた、

変化の流れといえると思います。


まず農業~工業段階においては、

灌漑・都市設備の建設や戦士階層の組織化、富国強兵のように、

富を増やしたり、守ったりする土木・軍事政策のような、

技術的政策の比重が相対的に見て大きかったと思います。


工業~情報段階においては、

殖産興業から福祉国家化、さらなる産業・金融や社会政策の発達のように、

豊かになった富を再分配・再投資して、社会の安定とさらなる豊かさを求める、

経済・社会政策の割合が増えてきました。


そして現在、情報~AI段階の社会においては、

先進国における少子高齢化からくる医療・福祉費の増大、

途上国における若年人口の爆発が紛争の原因となるというユースバルジ仮説など、

育児・教育や、精神・社会面も含む健康といった、人間自身の問題への注目から、

教育・保健といった人的資源政策の重要性が増しつつあると考えます。


近年の国連における〝人間の安全保障〟といった政策も、

資源・環境問題や貧困・紛争の解決に当たり、そうした課題を解決する鍵が、

国際的な支援自体ではなく、支援を受ける人々自身の力にあるという、

人的資源政策重視の表れといえるのではないでしょうか。


特に少子超高齢化に対する取り組みは、

人類の次なる文明段階を画するような、

技術や政策の開発・企画に役立つと思われます。


なぜなら、成年人口の半分近くが高齢者となっていく社会において、

社会の高齢化からくる大変な状況や悲惨な事件の増加を許し続けることは、

道義上はもとより、実際上も難しい。


ほとんどの人々が人生の半分以上を中高年として過ごす社会で、

そんな選択をすれば明日はもう我が身、

自分の首を絞めるに等しいからです。


誰もが歳をとるわけなので、

誰か他の人々のせいにして済ますわけにはいかず、

〝我々〟自身の問題として、責任を持って考えることができる、

ある意味では良い時代なのかもしれません。


もちろん将来のことも考えるなら、より少数の子ども達で、

より巨大化し、複雑・加速化していく社会を運営していってもらう必要がある。

そのためには、育児・教育・適材適所など次世代人材の確保と活用も、

人間的かつ合理的に行ってゆかねばならない。


ただでさえ少ない子ども達に、より多くの高齢者などを支えながら、

より大きく難しく、急速に変わる社会を担ってもらわねばならないのに、

子どもの貧困や心身の健康問題への対策が足りず、

学級崩壊や学習困難を増やしたりすれば、

その先のことは考えただけでも恐ろしい。


より少ない犠牲や損失ロス費用コスト危険リスクで、

より多くの福祉や利益を得ようとするのは、

良くも悪くも知性に伴う無制限的な欲求と、それによる危険性と可能性を備えた、

人間のごうであり、さがでもあります。


他に選択肢がなければ、深刻な状況となってしまうかもしれませんが、

そうしなくても済む新しい技術や政策は今、まさに生まれつつあります。

個人と同様、文明の発達にも適度な負荷と恩恵が必要なのだとすれば、

現在はむしろ絵に描いたような、ピンチはチャンス!の時代にも見えます。


もしこの段階の課題をクリアすることができれば、

その次のAI(人工知能)~宇宙開発(本格的な進出)段階には、

さらに産業の省人化、労働の頭脳化、社会の分権化が進み、

皆が政策管理者となって、以上全ての政策をバランスよく運営する、

行政管理政策の比重が高まっていくのかもしれません。

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