2 技術

技術においてはまず、

果実や動物を探して野山を彷徨さまよわなくても、

食べ物を手に入れられるようになりたいというので、

農業技術が生まれました。


次に、でもまだ農作業や製品加工は重労働だったので、

力仕事を代わりにやってくれるものがあればいいなということで、

動力機関を中心とする工業技術が生まれました。


そして、便利な動力機関ができたら、

速く、遠くまで移動できる交通手段を安全に誘導・管制したり、

遠くに移動した人と通信したりできるようにも、なりたい。

大量・高速に作られて動く、物や人、お金の流れをさばいたり、

大きな力で正確に動く機械を自動制御したりする必要も出てくる。

そこで電気工学を経て、情報技術が生まれました。


さらに科学・技術が発達して、経済・社会活動が複雑・加速化し、

制度・政策が高度化すると、

人間の頭脳だけで考えて、それらの活動を行うのが

大変になってきます。


そこで、これまでは人々が考えて試行錯誤で行うしかなかった、

経済・社会活動上の臨機応変な対応やたゆまぬ改善が必要な仕事、

さらには技術の開発・利用や政策の立案・実施なども

機械に助けてもらえたらいいなというわけで、

人工知能(AI)技術が生まれ、発達しつつあるのだと思います。


以上の技術の本質を振り返ってみると、農業技術は体外物質の利用、

工業技術は体外動力エネルギーの利用、

情報技術は体外情報処理(通信・記録・演算)手段の利用、

そしてAI技術は体外知性(自己改良型の演算指示プログラム)の創造といえます。


やはり技術は段階ステップを踏んで、その難易度に応じて、

易しいものから難しいものへと発達したようです。


ところで技術には、他の文明要素との関係で、4つの種類があると思います。


経済・社会活動に直接働きかけて変革をもたらし、文明の発展段階を画する

いわば〝直接ルート〟としての主力技術、

主力技術の物的資源化を助け、次の主力技術を生み出す可能性がある

いわば〝間接ルート〟としての関連技術、

科学・技術の研究・開発を助ける

いわば〝自助ルート〟としての研究・開発技術、

制度・政策の立案や実施を助ける、

いわば〝互助ルート〟としての社会工学的技術です。


この章であげた農業、工業、情報、人工知能といった技術はいずれも、

文明の発展段階を画する主力技術なので、

技術における〝文明発展の潮流トレンド〟は、

同じ主力技術の内部における技術の変遷へんせんといえましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る