第30話
ヨイチ・ザクヤは、マタオたちが保健室から去ったのを窓の外から確認すると、自分もその場から離れた。
ふうー、情報収集完了っと。どうだ? 俺の
ヨイチは心の中で闇の神具に尋ねた。
ええ、バッチリよ。白州カオルの所有する加速の神具は感知能力が低いから当然だけど、感知能力の高いキラユイ様や吉良マタオが所有する封印の神具にも気付かれていないわ。完全に
闇の神具は心の中で太鼓判を押すように言った。
私を所有してそんなに日が経っていないっていうのに、まったく大したもんだわ。普通の所有者だったらまだ自分で
ああ、気配と人の殺し方は小学生になった時点で習うからな、多分その経験が役に立ったんだろう。
ヨイチは心の中でサラリと答えた。
……いや、あたかも当然かのように言っているけれど、それ多分ザクヤ一族だけだからね。小学生になったばかりの人間が習うのは、足し算とか簡単な読み書きでしょ?
闇の神具はドン引きしながら心の中で言った。
仕方ないだろ、そういう環境だったんだから。しっかしそれはそうと、吉良マタオがあそこまでお人好しだったとはなぁー、さすがはユイさんの兄貴だよ。こっちとしてはスナズなんか放っておいて、一秒でも早く神具の回収を優先してもらいたいところだが、直接言ったら俺が所有者だとバレて封印されかねないからなー、困ったもんだ。
ヨイチは校舎裏を歩きながら心の中で
まあそれを言ったところで、他の所有者も自分の
まあそれもそうか。
ヨイチは心の中で納得しながら闇の神具に答えた。
ほら、分かったらさっさとセクス《存在エネルギー》を完全に消している状態から、普通の人間ぐらいは微弱に放出するっ! さっきみたいにヨイチが隠れていて視認されていない状況なら完全に気配を消しても問題ないけど、学校みたいに人がいっぱい居るところで一人だけ完全に
はいはい、わかってるよ。
ヨイチは闇の神具に答えながら、消していた自分の
それにしてもこの力は奥が深いな。神具の能力を使ったり気配を消す以外にも、身体能力の向上や肉体強化もできるんだろ? まるで魔法みたいな力だ。
人間からしてみればそうかもね、でも当然リスクもあるわよ。配分考えないで
マジで? 昨日俺も
ヨイチは少し気になって心の中で尋ねた。
フフッ、大丈夫よ。奥の手じゃあるまいし、影に潜むなんて私の基本的な能力だから、ヨイチの
闇の神具は鼻で笑いながら答えた。
そうか、まあ寿命なんざ多少減っても構わないが、確かにそう言われれば全然疲労感もなかったな。
でしょ? まあ所有者の方で
ふーん、
そりゃもう大違いよ。むしろそれができないと一人前の所有者とは言えないわ。昨日の恥の神具のような能力でも、完全にコントロールできていれば増大させた
なるほど、つまり身体能力向上や肉体強化以外にも、神具の能力からもある程度は身を守れるってわけか。それなら昨日も闇の神具主導で俺の
ヨイチは疑問に思って心の中で言った。
それは無理。神具側でコントロールできる所有者の
うわぁ、ややこしいな。じゃあ結局俺次第かよ。
そうね、でもさすがにそこまでのレベルになると、ヨイチでもまだまだ時間がかかると思うから、それまでの間は引き続き私の能力でフォローするわよ。
闇の神具は彼を励ますように心の中で言った。
そりゃどうも、しかし増大させた
ヨイチはたまらず闇の神具に助言を求めた。
そうね、色んな要因があるけど、手っ取り早いのは神具を所有した時間と神具の能力を使用した回数かなー。もちろん多ければ多いほど
闇の神具は先生みたいに説明した。
へぇーなるほど、当たり前と言ってしまえばそれまでだが、なんでも日々の鍛錬が大事ってわけだな。そういや俺の親父もよく言ってたなあ、才能っていうのは毎日休まずに積み上げる行為のことだって。とにかく
ええそうね。それにヨイチなら大丈夫だと思うけど、いつまでも私たち神具にセクス《存在エネルギー》のコントロールや能力の発動を依存しているようじゃダメよ。いわゆる所有者が神具に使われている状態だからね。そうじゃなくて所有者が
身体を乗っ取られる? それってどういう……
あっ! ヨイチっ! 微かに
闇の神具は他の所有者の気配を感知すると、彼の問いを遮って心の中で叫んだ。
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