02 彼は負けていた
「ニオ!優勝おめでとう!」
そう私を称えてくれたのはリップだった。
「うん。ありがとう」
私は全然嬉しくなかった。それは新兵戦、魔導武道大会は私の圧倒的勝利で終わったから。私が期待していた彼は、トーナメント票の2回戦で負けていた。2回戦と言っても、彼は推薦組でシード。実質初戦敗退という事になる。
「ニオ、不満そうね」
「当然でしょ。魔法兵団なんて肩書は飾りなのかしら、って感じ」
今年の組は本当に推薦基準が下がったのだったのだろう。何だ前日まで期待した私が馬鹿らしい。
「それでニオ、3日後の団体戦なんだけど……」
「いいわよ。枠が1つ余ってたから、あなたを入れてあげる」
「やった!ありがとうリップ!」
無邪気に両手を挙げて喜びを表現するリップ。
団体戦は3人対3人のチーム戦。運営側がチームのリーダーを決め、リーダーが3日以内に自分を除く2人を決めて本番に臨むというもの。ルールはリーダーの戦闘不能。自分でいうのもあれだけど、実質的に私のチームの優勝という事になる。
そしてリップがチームに入れて欲しかったのは、勝者にはボーナスの給料が出る事が個人戦の最初の説明で分かったからだ。大会を勝ち進むごとにお金が入り、優勝した私は約半年分の給料をボーナスという形で受け取ったのだった。
とにかく私のチームメンバーは決まった訳だ。私とリップ、それに私が戦ったことのある準優勝の彼女、エピカだった。エピカとは様々な大会で手合わせをしてきたライバルだが、こう味方になってくれると頼もしいし、少し楽しみでもあった。
「さて、メンバー3人も決まったし、貰った優勝賞金でパーッとカフェで親睦でも深めますか」
「いいわね!」
私とリップは、兵寮のエピカを誘って街一番のカフェに向かう事にするのだった。
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