第1章【緑の少女とアルフの森】

第4話

 僕は今、夢を見ている。

これは珍しい夢だ。まさか、今はもう覚えていない家族の夢。

視界の全ての物事が、灰色に視えていたあの頃の夢だ。


 「……(もう忘れたと思っていたのに、覚えているものだな)」


 夢の中で何気なく道を歩き、僕はそんな事を考える。

忘れたと思っていた道を歩き、思い出しながら僕は迷う事無く辿り着いた。

ガラスは割れて、廃墟のような場所へと。

僕はその扉を開け、その内部を目を細めて眺める。


 「――ここはもう」

 『使われてないよ。ここはもう誰も住んでいない事は、君も知っているはずだ。僕は僕で、調べていたはずだからね』

 「それは……」


 知っている。何故、両親が僕を捨てたのかを調べていた頃に分かった事だ。


 『僕が調べたのは、微かにキッカケが在ったから。だけどこれは、私怨だ。僕自身の考えを述べるなら、これはもうどうでも良い。そうだろう?』

 「…………」


 灰色に染まった夢の中で、僕はそんな自問自答を繰り返す。

私怨で探した結果が、何も無かったという結果に終わったのだ。

だからこそ、改めて思うのだ。


 ――クダラナイ、と。


 

 「……てください。……」

 「……うぅ、んん……っ」


 誰かに揺らされる感覚がして、僕は寝惚けた意識で目を開ける。

その場所は暖かくて、何だか懐かしい空気で酷く落ち着く場所に感じた。


 「あ、起きました。おはようございます♪」


 起き上がった僕の目の前で、笑顔で花飾りを作っていた女の子の姿があった。

鮮やかな黄色の髪に、綺麗な二つの碧眼。

だが寝惚けた頭の所為で、僕は一言呟くのだった。


 「――えっと、誰?」 

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