第3話
「――ここは、いったい……?」
真っ暗な空間に、ただ一人。
孤独に慣れている僕でさえ、寒気を感じるほど何も無い闇の中。
身体の重力を感じるのに、地面に足を付けている感覚が無い不思議な空間。
僕はその空間の中を彷徨っているのだと、何気なく悟った。
「……なんて、ただの夢かな?これは」
――可笑しな夢だ。単純にそう思っていたのだ、この頃の僕は。
「やぁ、いつまで立っているつもりだい?」
「……?」
声を掛けられた瞬間、僕は周囲の変化に気づくのワンテンポ遅れる。
真っ暗な空間から、その場所はゲームや漫画に出て来るような玉座の間に変わっていた。
その玉座には、僕の知っている人物が頬杖をして座っていた。
にこやかに、口角を上げて……。
「――此処は、何処?」
「ようこそ、新たな世界へ。キミは神に選ばれた人間として、新たな人生の幕開けへと足を踏み入れる事になった。……とまぁ、ボクの知り合いにこういう話し方をする奴が居るんだけど、こっちの方が良いかい?」
「いや、僕が聞いてるのはそういう事じゃなくって」
「そう焦らない方が良いよ。キミが何を焦っているのか、良く分からないな。そしてその質問に答えるのなら、ボクはこう答えてあげるとしよう」
人差し指を立てて、彼は意味有り気に言った。
その言葉が真実なのか、確かめる間もなく彼はそれを証明したのだった――。
「――ここは、いわば異世界だよ」
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