第43話
「まずはあの魔物の弱点を見付けないといけませんね・・・」
一部例外を除き、全ての魔物に共通する弱点とは主に2つあり、一つ目は単純で分かりやすい弱点、つまり魔物の生命の源である魔石だ。そして、もう一つは弱点属性と呼ばれている。この弱点属性とは、その魔物が苦手としている魔法の属性のことである。また、弱点属性が火属性ならば普通の火も苦手という様に、その弱点属性は魔法でなくとも有効だ。勿論、魔法のほうが効果はある。だが、弱点属性は魔物によって違い、更には弱点属性がないなんて言う曲者さえ存在するので精々戦いを有利に進められる程度の認識しかされていない。
この二つ以外にも、肉体的な弱点も存在するが、今回の相手の魔物は確かな肉体または肉体を持たない
ここで先程出た『魔法の属性』について説明しよう。魔法の属性は火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性、無属性の七属性がある。無属性には他の属性との相性の良し悪しなく、凡庸性に優れた属性である。他の属性は火属性の弱点:水属性、水属性の弱点:土属性、土属性の弱点:風属性、風属性の弱点:火属性、光属性の弱点:闇属性、闇属性の弱点:光属性、となっている。
「あの魔物が使う魔法は闇属性・・・今までの私の魔法への反応からして弱点属性は光属性ですね」
ジャンヌは前回の戦闘と先程の戦闘の様子から魔物の弱点属性を割り出した。幸いにも、光属性はジャンヌの得意な魔法の属性だ。魔物が強化されているとはいえ、そこをつけばわずかではあるがジャンヌにも勝機はあるだろう。懸念するべき事といえば、魔物の体力が未知数な事と相手の魔石の位置が分からない事だろうが、それは仕方ないとしか言いようがない。
「とりあえず、ここからバレないように動かなくては・・・」
流石に土煙があるからと言っても敵の目の前で魔法を行使しようとすれば、折角、追撃をしないで様子見をしている魔物に戦闘の続行が可能な状態だとバレてしまう。それではかなり厳しい戦いになってしまうので、ジャンヌは土煙に隠れて距離をとり強力な光属性魔法で奇襲を仕掛けたかった。
「ここまで来れば居場所がバレても、魔法を使う時間は十分にありますね」
どうやら魔物は五感があまり良くないらしく、すんなりとジャンヌは魔物から距離をとることができた。魔物の方を見ると、魔物は未だにジャンヌが移動したことに気付かずに土煙をじっと見ている。
「すぅ・・・・はぁ、・・・始めましょう」
ジャンヌが立てた作戦は魔物から十分な距離をとり、魔力を通常より多く使って威力を上げた『
「神聖なる光よ、闇に潜みし邪悪に公平なる天罰を与えたまえ・・・」
「グ?」
魔物が通常よりも大量の魔力を使用している詠唱に気がつき、疑問の声を上げ、振り向くがもう遅い。既に詠唱は完了している。
「『
「グォォオオオオオオオッ!?」
前回よりも輝きを増した光は崩壊した町の一角を照らし出しながら、魔物の表層部分を焼いていく。
「グガアアアァァッ!!」
魔物はジャンヌを攻撃しようと腕を振り回し町をさらに瓦礫の山に変えていくが、いかせん距離が離れすぎていて当たらない。魔物の腕は町を破壊するだけにとどまった。
「魔石は・・・・?」
ジャンヌは自身の視力を総動員して魔石を探す。魔物が全身真っ黒なおかげで魔法の光に包まれている状態でもはっきりとその姿を捉えることが出来た。
表層部分を覆っていた黒い靄の大部分が魔法の光によって剥がされ、魔物の姿が見えやすくなっているが少々威力を強くし過ぎたのか、靄だけでなく魔物の体にもその表面に所々綻びが見える。
その体を注意深く観察すると、怪しげな紫色の灯火が揺れている目以外に黒色ではない箇所があった。よく見れば完全に黒くないのではなく、体表が僅かに透けて色が薄くなっているようだ。その僅かに透けている体表の下に魔石があるのは間違いないだろう。
「大地は戦禍の焔に呑まれ、空は絶望の闇に染まった、今こそ希望を束ね、一条の光と成し、我らの導とせん!『
ジャンヌが唱えたのは前回魔物と戦った時に使用した貫通力の高い一転集中型の魔法、『
突き出された槍の穂先から極太の閃光が放たれた。夜闇を切り裂き、光の筋を残しながら進んだ閃光は寸分違わず魔石がある場所を貫いた―――――
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