第12話

喧嘩、殴り合いの際、冷静さがかけるというのは大きな痛手だ。向こうの男は勝ち目がない。なんせ、わたくしは柔道全国大会で優勝したのですからっ!

「ここであったが百年目!いざ、参る!」

敵に回し蹴りをいれるが、よほどタフなのか効かない。そして、全身に痛みがはしる。

「くっ、スタンガンかっ」

「ハッハッハッ、二人もろとも死ぬがいい!」

男は笑いながらゆっくりと迫ってくる。スノーフラワーもスタンガンには抵抗できない。くっ、どうすれば…

「この!」

ドンッという音とともに近くの川にお嬢様と男は落ちる。まさか、お嬢様は自分の身を犠牲にして男を川に突っ込んだのでは!?助けに行かねば!

「お嬢様!!」

川に飛び込むが、どこにいるかもわからない。やみくもに泳ぐが意味もない。もし、お嬢様が見つからなかったら?そんな疑問が頭をよぎる。そしたらわたくしは生きる意味をなくす。そして、妹のように愛でてた大事な人を失うことになる。そんなことは絶対にさせない!見えた、お嬢様の手だ!そのか弱い手を引っ張り、上へ引き上げる。男の方は…ほっておいた。

「ごほっ、ごほっ」

「お嬢様!大丈夫ですか!?」

背中をさすると、

「バカね、私はそんな小さな子供じゃないわ」

そう弱々しく喋るお嬢様を見て胸が痛んだ。

「ほら、わたくしが助けてあげたんだから、家までちゃんと運びなさい…よね」

そういいすやぁ、と寝たお嬢様は誰よりもかっこよく見えた。

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