第11話
ぴょんこぴょんこと目の前で跳ね回るのは、お嬢様の飼い猫、スノーフラワーだった。とても可愛らしい真っ白な猫で、好奇心旺盛。主人のお嬢様のことを守ろうとした勇敢な猫なのだ。
「ニャー」
「スノーフラワー、どうしたのです?あぁ、お嬢様の帰りが遅いから心配してるのですね。大丈夫ですよ、そろそろ帰ってきます。」
だが、お嬢様はそれから30分たっても帰ってこなかった。おかしい、お嬢様は普通五時に帰ってくると言ったらその時間きっかりに帰ってくるはずなのだ。
「きっと体調でも悪いのでしょう。」
スノーフラワーにいいきかせているのか、自分にいいきかせているのかわかんなかったが声に出してみた。が、その声は周りに虚しく響いただけだった。
「ニャー!ニャー!」
突然スノーフラワーは鳴きだし、わたくしの服の袖を引っ張った。スノーフラワーは好奇心旺盛でも、こんなイタズラをする子ではないのに。
「やめなさい、スノーフラワー。お嬢様が帰ってきたら怒られちゃいますよ」
それでもスノーフラワーは離そうとしない。すると、わたくしを説得できないとわかったのか今度は玄関に向かう。鉤爪が傷つくのもお構いなしにドアを激しく引っかき、鳴いていた。スノーフラワーはわたくしに何かを伝えようとしてるのでは?ふとそう思い、ドアを開けてあげた。
「ニャーー!」
勢いよく飛び出し、走り出した。まだあんまり外に出たことがないのに、まるでそこに道しるべがあるかのようにあっちへいったりこっちへいったりと右折と左折を繰り返す。やがて、一台の車の前で止まった。
「シャーッ!」
見えない何かに毛を逆立てて威嚇し、今にも突進して行きそうだった。次の瞬間、スノーフラワーは車の窓ガラスまでジャンプし、窓ガラスに頭突きをくらわした。止めようと、ジャンプしたスノーフラワーをキャッチし、車の窓ガラスを覗いてみた瞬間、背筋が凍った。
「っ、お嬢様!!」
中には手を縛られ、口にガムテープをつけられたお嬢様が車の中で横たわっていた。目には涙を浮かべて、こちらを見ていた。必死にスノーフラワーと車を開けようとしたが、無理だった。
「そうだ、フロントガラスを割ろう!スノーフラワー、手伝え!」
わたくしの言葉を理解したのかスノーフラワーは今度はフロントガラスに頭突きをくらわした。続けてわたくしは蹴りをいれ、フロントガラスをわろうと試みた。じょじょにヒビが入り、ようやく割れた。
「お嬢様!ご無事で!」
口のガムテープを剥がし、手のロープを解くと、
「隼人!前私の家で隼人が倒した不法侵入者なの!私を誘拐したのは前のあの不法侵入者なの!!」
ボロボロと涙を流しながらお嬢様はそう言ってきた。まさか、あの男がまた来るとは…
「バレてたのなら仕方ない。今度こそはお前たちを殺してやる!」
そういい後ろから男は襲ってきた。
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