第2話

今日もわたくし黒部 隼人(執事)はお嬢様の買い物の荷物持ちをしている。視界が遮られるほどの沢山の荷物を抱えるわたくしをよそに、キラキラと光る街灯に照らされた明るい商店街(ほとんどの店が大きく、セレブ向けだと人目で分かる)の中、お嬢様はまだずんずんと色々な店へと入っていき、試着している。

「ねえ隼人、この服とこっちの服、どっちが似合う?」

と、お嬢様は緑の花柄ワンピースとピンクのエレガントなワンピースを持っている。正直、同じようなものをなん着が持っている気がしなくもないが…

「お嬢様にはなんでも似合います。気に入った方を買われればいいんじゃないかと(棒読み)」

あまりにも面倒くさ…疲れていて、適当に返事をしたのがいけなかった。

「どっちもいいから聞いてるんでしょ!しかも棒読み!もうすぐ私の誕生日パーティーだから、その服を選んで、飾り付けの品も用意してるのに!どうしたの隼人?顔が真っ青よ?」

さーっと血の気がひいていくのが、自分でもよく分かる。完全に忘れておりました、お嬢様の誕生日を…執事という以前に、自分の主の誕生日を忘れるなどあってはならない…

「お嬢様、ではどちらも買っていかれてはどうでしょう?」

「はぁ?そしたら隼人が荷物の重みに耐えきれなくなって潰れるでしょ?」

えっ、お嬢様はわたくしのことを考えてくださって…

「隼人が倒れたらわたくしの荷物が壊れてしまうでしょう?それは困るわ!」

いきなり大きな声で話すお嬢様はなんだか赤面で…

「ふふっ、お気遣いありがとうございます。」

にこりと笑い(ちゃんと笑えたかどうかは別として)、今日はお嬢様の意外な一面も見られました。

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