お嬢様はわがままでいらっしゃる
志貴野 凛音
第1話
大きな西洋風のお屋敷の前に、真っ赤なロングドレスを着用し、耳にはエメラルドグリーンのイヤリング、胸元には真珠のネックレス…などと美しい装束品に囲まれている女性が立つ。彼女は、北条
「ちょっと隼人!なに人をジロジロ見てるわけ!?普通におかしいわよ…」
と、お嬢様は呆れたように目をぐるりとまわす。
「いえ、今日も美しいなと思いまして…」
「嘘おっしゃい、本当はそんなこと思ってもいないくせに…」
隼人とは執事の私のこと。黒部
執事といっても、このお嬢様専属。大体は家事なのですが…まあ、こんなわがままで頑固なお嬢様の相手を出来るのが私だけということもありますけど…
いや、わがままで頑固で阿保丸出しだなんて言ってませんよ?きっと空耳です。
約一年前からここで働かせて頂いてますが、私へのお嬢様の扱いは酷いもの。あれやってこれやってだのと、子供のようなことをいって…嗚呼、酷い、とは違いますね。姉弟のようなものだと考えてください。
「隼人ーっ!車だしてー、大学の友達と今日用事があるの。帰りも車で迎えにきてよ!」
お嬢様は、ドレス姿なのにジタバタしながら私を急かす。
「はいはい…了解しました、お嬢様。」
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