とある理由から一人の老人きぬを助けた研次と、不幸な事件に巻き込まれて病院に入院している透とその妹 春香らの視点からお話が進む作品です。
2組の視点からお話が進んでいき、お互いの心情や景色などが繊細に表現されています。そしてお話が進んでいく中で、研次と春香は少しずつ仲良くなります。しかし彼らが出会ったのは偶然ではなく、そこに至るまでの過程が読者を独自の世界観へと引き込みます。
ジャンルこそ「恋愛」として発表している作品ですが、どちらかというとヒューマンドラマ色が濃い小説だと私は思いました。作者さまは男女の恋愛における流れにおいて、「人の縁」「家族の絆」を強く作品の中で意識し、それを上手に表現しています。生きることの素晴らしさはもちろんですが、お互いに人が支え合うことの温もりを感じさせてくれる作風も魅力です。
「勇気を出して未来へ一歩踏み出した大人の生き方を堪能出来る」というコンセプトが一致する、この素敵な恋愛ヒューマンドラマを私は自信を持っておすすめします!