ある日N

三階の駐車場には闇が棲む僕が名付けた猫は冷たい



或る夜半にやみを穿つはしとしとと散るや散るらむかの梅の花



外装を剥いて食んだら恣胃が丹田が満たされるまで



しゃりしゃりと落ちた椿の花を踏む子供が俺を追い抜いてった



枯れていた木々は何処にか消え去っていま境内にほらまたひとり



安石が見た緑葉を俺も見る価値を知らないぼくも見た葉を



寝る前に飲んだコーラで眠れない目にゴミ? 気のせい「暑い」寒い冬



ホコリ降るもぬけの殻の箱の中もう矢も弓も手土産もない



フケて読む妙なラノベが好きだったごろ寝で腕を伸ばして疲れて



神託オラクル通過儀礼イニシエイトもないままに湿った部屋で火薬を詰める



濡れた道見えない光を照り返し煙れる街に散る人熱れ



帰りしな小路にできる花の舟佇立する二者}銀の五月雨



高速の前の屋上に揺れてる色々吸ったシャツを取り込む



去来するかつてのすべてに射貫かれて躄る轍を見飽きた途を



風に乗って電ノコの音がやってくる家の前は硝子屋さん

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