ある日N

無視したらまじで死ぬ気がするような脳のサインに従って寝る



凍れる日照った日差しは縁側に屋根に障子に心の中に



きみの居るそこはどうやら山の上薄い空気を肺腑に詰めて



街灯の光湛える朝霧に湿る部屋着が肌に張りつく



亡き祖母に布団をかけてから起きる夢の階下でおやすみ、ばあちゃん



午睡明け見知った闇と久闊を叙する春先空腹のまま



ほんとうに消したと思う君ならあのとき「うん」と答えていたら



手の込んだ迂遠を尻目に強い歌詞強い言葉を笑えずに泣く



床の上転がる肢体に胡乱な目ティッシュを割いてこよりをつくる



赤色のドアキーを手に分け入ったさあこいここに悪意が満ちる



手を放す後ずさりつつ目を見張る悪意は赤い色をしている



いつでも止められたそれでも止めなかった怖いと言えなかったから

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