短歌 日常劇場
口井戸大介
ある日N
肉を喰うネギとニンニク塩胡椒5分炒めて白米を喰う
腰だめに構えた銃に手をかける弾は飴玉子供の目玉
くべてもいい記憶で火を熾しつつ自動車の音で夜は更ける
更衣室のベンチに浅く座った疼く足首同じ足首
忌避をした造花に水をやる日々にただ君だけが鼻を吟じた
腕枕しびれた指で取るリズムふらつく頭の片耳イヤホン
輝度彩度明るさガンマ最低のブルーライトで充分な部屋
廃水にくねる水草日は沈み「かくや」と仰ぐ盛夏の赫夜
木陰まで走りて息を整へる苔むすそこは永久なる窟
唇の下のニキビが疼く五時これがいわゆる秋ってやつかな?
茶を注いだコップの上に手を置いて足はこたつに目は閉じたまま
訥々と誰にも知れぬ五七五遊ぶ口許荒まぬ心地
閉じた目に画面の白が突き抜けて骨伝導の衣擦れを聞く
白米にゆかりをかけて三口目ピッと走った痛みに手が止
死ぬ恐怖を噛み締めながら死んでいけ――おれもいずれそうやって死ぬ
あめ色の空に浮かんだシャボン玉ラーメンスープの油で遊ぶ
静謐が扉の外へと溢れ出すエントランスは陽だまりまみれ
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