第3話駅~

 バスの営業所に入り、カウンターで少年の写真を見せた。しかし、見たという証言は得られなかった。一度駅の中に入り、改札口の駅員や、売店の店員などにも写真を見せたが、やはり証言は得られなかった。

「人通りが多いですからね。普通に通っただけでは覚えていないかもしれませんね。」

「そうね。」

駅の改札前には、名探偵コナンの登場人物の石像が並んでいる。

「佐藤さん、俺思うんですけど、この佐藤優哉少年は、鳥取に観光に来たんじゃないかと思うんですよ。」

「観光、か。」

律子は考え込んだ。

「空港から白兎海岸へ行ったのも、因幡の白兎伝説の舞台を見に行ったと考えられるし、ビジネスホテルではなく温泉旅館に泊まっているし、何か他に目的があるとも思えません。」

「そうね。それで?」

「そして、鳥取に来て一番行ってみたいところと言えば。」

良平はそこで言葉を切った。

「・・・鳥取砂丘、よね。」

「そうです。まずは鳥取砂丘に行ってみたいと思うでしょう、東京の高校生なら。」

「つまり、ここから鳥取砂丘へ向かったと。その線にかけてみようか。」

二人はバスターミナルへ戻った。そして、鳥取砂丘行きのバス亭を見つけた。鳥取砂丘まではここから22分と書いてあった。ほどなくして入って来たバスに、二人は乗り込んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る