第17話 騒動 一陣 ひっぱりだこ
「まったく、忙しいんだから騒ぐんじゃないよ! 特にディア!」
「うにゃー、ごめんなさいー。」
「アンナさん、この子は……?」
「ディアだよ。薬草採集をよくしてくれるんだ。」
「ディア、私はセレスだよ。よろしくね。」
「セレス、黒い髪キレー。」
自然に腕の中へと納まったディアに
「えへぇ、にゃぁ~ん。」
「かわいい……そう言えば、持ってきたって言ってたけど?」
「ゴロゴロ。」
「だめだこりゃ。よっぽどセレスが気に入ったんだねぇ。こら、ディア! さっさと集めたモノ出しな!」
ディアは私にくっついたまま腰のポーチをアンナさんの方に向ける。なぜ離れないのだろうか、と手が止まると少し不満そうな顔をして見上げてくる。
「じぃ~。」
「撫でて欲しいの?」
「……。」(コクコク)
「しばらく相手してあげとくれ。客もまだ来ないだろうし。ディアは食べてくかい?」
「たべる~。」
アンナさんがディアからポーチを受け取り台所へ戻っていく。
「一緒に席に着こう?」と言うディアに引っ張られ歩き出した時、大きく地面が揺れた。
ドンッ! という視界がブレるほどの縦揺れ。
店内のあらゆる物が揺れ動く。ディアと私は何とかテーブルの下に入り込んだが、固定されていない椅子などが倒れ、おばちゃんたちの悲鳴が飛び交った。
音から察するに、調理場は大惨事だろう。揺れが酷くて立てない。私にしがみついているディアは恐慌状態だ。あまりの様子に、逆に落ち着いて考えられた。
「ごめんなさいごめんなさい!」
「……収まった?」
縦揺れは10秒ほど続き、次第に小さな揺れになった。
揺れが収まり、私たちの元へ顔を出したアンナさんに、ディアを押し付けて外に出る。アンナさんの呼び止める声が聞こえるけれど、山の方から嫌な予感がする。
急いで山に近い門へ向かう。見かけた村人は山を見上げ、立ち止まっている。門番のおじさんたちも山を見て、
門に着いた時点で、息は上がっていた。膝に手を当て、呼吸を整える。
「マノン、何あれ……何か分かる?」
「ん~、あふれちゃったなぁ。熱いの苦手なんだよね~。」
「もう! マノンの居た辺りじゃないの?」
小屋の近くの火口からだろうか。黒煙が途切れることなく昼空を染めていく。村へと煙が流れてこないのは不幸中の幸いだろう。
門から見える
「ねぇマノン、何か、こっちに来るよ?」
「ちょっと……準備しようか。」
「準備って何するの?」
「戦闘。」
「マジ?」
「マジ。」
……私、終わったかもしれない。
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「うーむむむ、『
「はい、そうです……え? 何か?」
「だから、どーなってんのって!」
「
「『罪には罰を』知らしめよ。」
「……御意のままに。」
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被害
マノン山周辺 計測中
遠方の南国の島 消失
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