第15話 SS ディア
以下、【バビ】は豚顔、胴体が鹿の草食動物。気性は穏やかだが、食事の邪魔をされると角で攻撃してくる、という設定です。
——————————————————
薄明時、朝の鐘が鳴る少し前に、いつもより少し早く起きた。
手探りで荷物を探して用意する。今日は【バビ】に邪魔されないようにしなきゃ。
私はディア。孤児って言うのかな。物心がついた時には、すでにお父さんもお母さんもいなかった。
「ねぇ、私のお父さんとお母さんはどこ?」
と聞くと、皆が悲しそうな顔をするから聞かないけれど……最近になって何となく分かっちゃった。
でも、悲しい事ばかりじゃない。村のみんなが優しいし、村の外で集めた草花とか小さな獣とかを持っていくと喜んでくれるし。……ちょっと失敗する時もあるけど。
「落ち込んでてもダメ! 休んでいた分も集める!」
気持ちも新たに村の外へ。集めるのは料理にも使う【ヘルバル】という薬草と、その近くに咲く花。どこにでも生えていて一束で納品できる【ヘルバル】と、できれば数日食べられるだけの木の実なども採っておきたい。【バビ】が食べ物を探す昼頃までには、村に戻らないと……。
眠そうな門番さんに声をかけ、マノン山の麓の森に入る。もうすぐ交代なんだから頑張ってほしい。【バビ】を狙う大きな獣がいても困るので、警戒は怠らない。
「えっと、あとは……あった! 今日は一杯~♪」
【ヘルバル】を集め終わった後、少し奥まで入ってみると2日分相当の木の実等が採れた。集めるのに夢中になり、あっという間に日が昇ってしまっていた。
あとは気づかれずに帰るだけという所で、背後の草むらが揺れた。
「フゴフゴ、フゴ!」
「うえぇ、集まってくる前に
幸い、
……それにしても今日は、他の動物がいないなぁ。そんな事を思いながらも村に戻る。ギルドに2日越しの完了報告と、清めをしてもらう。10代前半の女子が森を駆ける時、風魔法を使う。この村から離れた者は、定期的に綺麗な風を受ける。汚れなども取ってくれるし、疲れもなくなるからみんなと洗濯したくない時に利用してる。
「はい、終わったわよ。アンナの所に行くの?」
「そーでーす。」
「昨日、同じくらいの歳の子が来てたから、会ってみたら? たしかセレスちゃん、だったと思うわ。」
「へぇ、行ってみまーす。」
顔見知りのギルド員と別れ、食事処へ。この時間なら直接行けばいいよね。私は小走りに駆けていった。
————————————
「ディアちゃんね、
「なんで知ってるんですか。」
「私に知らない事なんて無いのよ。『見れば』良いんだから。」
「カンニングしてるじゃないですか。」
「バレなきゃいいのよ。むしろバレててもやるわね。」(ドヤ顏)
「……じゃあ、私にバレたので今日のおやつは抜きで。」
「……クスン」orz
————————————
被害
奇跡的にゼロ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます