第6話 こっち? そっち? もっちもち?

「おぉ、うまうま。」(木の実とトカゲモドキを食べながら)

「こっちもピリ辛でおいしいよ?」(高温の岩をかじりながら)

「そっちはやめとく。」


 不思議な食性だと思う。草食かと思えば岩まで食べるなんて……見た目ウサギなのに。さすがにワニもトカゲも食べる事に抵抗を覚えたが、マノンいわく、


「ワニはともかく、トカゲはも食べてるよ?」


 とのことで、勇気を出して食べてみよう。火口に生息する魔物の肉はなまで食べられるらしい。……うん、おいしかった。前髪が少し焼けた、か?

 さて、腹も膨れたし、今まで放置していた問題に向き合おう。


「マノン、木の家は行ったか知らない?」

「知ってるけど教えちゃダメなんだ、ごめんね。」

「えっ……何それ、私、どうしたら良いのかな。ずっと火口ここにいるのもね。」

「好きなだけいても良いんだよ?」


 楽しそうなマノンからは想像できない寂しそうな目を見て、胸が苦しくなった。私の体のの記憶を思い起こす。


 何度、会いに来ても歓迎されたひとりぼっちだった。垂れていた耳を嬉しそうに伸ばす様子には触れないようにしていた。


 そうだ……マノンは、ずっと一人ぼっちだった。出来るなら一緒が良い、離れたくない、と思う。一人で決めては、いけないだろう。


「マノン、私と一緒に。」

「こんな僕で良いのかい?」

「……ご主人様に仕えてみたまえ、マノン?」

「僕がご主人様なら良いけど?」

「ふーん、オシオキをかな?」

「ショ、ショーガナイナー、ハー。」

「よろしくマノン、セレスだよ、セ、レ、ス!」

「そんなことより、さっさと乗りたまえよ。」


 マノンの肉球にタッチしておく。よろしく相棒マノン

 私が乗りやすいように頭を下げてくれる。相変わらずのフカフカだ。

 山を下りるには火口から横穴を抜けるルートと、斜面を下りていくルートがあるらしい。火口のルートだと降りている最中に燃え尽きるのだそうだ。……さっきマノン降りてたよね? 細かいことを気にしていたら、この山では生きていけないらしい。

 細かくないから、すっごく大事だから。


「とりあえずふもとの街まで行こうか……あるよね?」

「あるよー。」

「んじゃーレッツゴー……ぉおお!?」

「……あ、飛ばすそくど上げるよー?」


 先に言え、と。


————————————


「鶏モモみたいな味ね?」(トカゲ)

「ワニもイケると思うのですが……。」(ギギギ……ブチッ)

「参考までに、どんな味なの?」

「足場を失う味……ですかね?」(ガリ、ゴリ)

「あし……ば?」


————————————


 被害ゼロなため、補足をば、

 描写を少なくしています。想像で補えそうなものは特に。

 バカな会話してるなぁ、程度のやりとりを。

 マノンと主人公の出会いをSSとすると面白そうな……ないか。

 主人公は『前の人格の記憶を少しずつ思い出す』設定です。

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