第11話 空っぽの街

鈴夢れむside

「なんで、誰も居ないのよ!」

静かすぎる街に、鈴夢の声が響き渡る。

どうして!?

いつものどっちの散歩かわからない、犬に引っ張り回されてるおばさんも、

タクシーの外に出てお喋りしてるおじさん達もいない。

そういえば、いつもの神社で神主さん見なかった。

あ、でも。神主見習い?の息子さんは居た。

てことは、大人が集団寝坊?


「はぁ・・・馬鹿みたい。」

一瞬浮かんだ考えを直ぐに否定する。

そんなことあるわけない。

くだらないことを考えていると、いつものバス停が見えたところで、横から何かがぶつかってきた。


はゆるside

朝の静かな公園。といっても、いつもと違って人が居なくて、更に静かな公園。

その公衆トイレに、1人の少女が現れる。

人が居たら卒倒ものだが、生憎、今日は誰1人居ない。

「・・・っと、っと、っと・・・。」

目指した場所には着いたみたいだけどぉ~・・・

うんうん、誰も居ないみたいだねぇ~。

周りを確認しながらバス停に向かって公園を出たところで何かとぶつかる。

「・・・いったたぁ~。」

「いった・・・。ちょっと!いきなりなんなのよ!って・・・大丈夫?ほら、掴まって。」

転んだ私に手を差し出してくれているのは、ショートカットの女の子。

「ありがとうございます~、それと、ごめんなさい。」

「いいわよ、別に。鈴夢も注意してなかったから。」

手を取って立ち上がったところで、同じ制服だと気づく。

「あの、私・・・1年1組の清守映です~。バス乗るんですよね~?一緒に行ってもいいですか~?」

「ん?あぁ、鈴夢は、癒月鈴夢。1年3組。」

どうやら、同じ学年だったみたいです~、何となく、この子とは仲良く出来そうな気がします~。


燈灯あかりside

んー・・・父さんも母さんもどうしたんだろう。

帰ったら様子を見てみようかな・・・。

バス停までの道のりを1人歩きながら考える。

父さんはまだしも、母さんが起きていないのはどう考えてもおかしい。

「それにしても、今日はやけに静かだな・・・」

ふと、いつものざわめきがないことに気づき、あたりを見渡す。


「どういうこと・・・だ?」


車が走っていない。

歩いている人もいない。

それどころか、人の気配がしない。

こんなことは、ありえない・・・。


まるで、この世界に1人取り残されたような妙か不安が頭をよぎる。

「いや・・・そんなことは・・・・・・ん?」

少し先にあるバス停に、見覚えのある制服を着た女の子が2人居ることに気づく。

1人ではなかったことに安堵のため息をつくも、いつもと違う街の様子に不安は拭いきれなかった。

とりあえず、あの子達と一緒にバスに乗ろう。

そう決めて、いつもより気持ち早足でバス停に向かった。


澪佳れいか花鳥あとりside

家を出て直ぐに異変に気づく。

いつも玄関先でイチャイチャしてる新婚夫婦がいない。

「今日はお休みなのかな?」

「そんなわけないでしょ、今日は平日よ?」

「そう、だよね。」

「大丈夫よ、澪佳。きっと、なんでもないわ。」

少しの異変に戸惑う澪佳。

そんな澪佳も可愛いけれど、笑ってる方がずっと可愛い。安心させるように声をかけるけど・・・異変は大きくなるばかりだった。

管理人さんがいない。

登校班毎に並んで歩く小学生もいない。

「花鳥ちゃん・・・誰も、いないね・・・。何でかな?」

どうして誰も居ないんだろう・・・。

花鳥ちゃんもきっと不安だろうけど、さっきから励ましてくれる。

大丈夫だよね・・・。そうだ!お昼休みにお母さん達に電話してみよう。

異変に戸惑いと不安が大きくなる中、バス停が見えてくる。

そこに、同じ制服の子が居るのが見える。

それは、花鳥ちゃんにも見えているようで、

「澪佳、きっと大丈夫よ。ほら、あそこに同じ生徒がいるわ。一緒にバスに乗りましょう。」

「そうだね、大丈夫だよね。」

人が居ることに安心して、2人でバス停に向かう。



はるかside

ほんとに誰も居ないな・・・。

「というか、信号すら動いていないじゃん。」

思わず声に出る。

いくらなんでも、これは異常事態なんじゃ・・・。

学校・・・休校にならないかな・・・・・・。

いや、連絡がないんだから休校にはなってないか・・・。


にしても、ほんとに静か。


これだけ静かだと、ゲーム中な気がしてくる。

ちょっと、ワクワクしてきた。


何となく息を潜めて気配を探ってみるも、人の気配だけでなく、動物の気配もしない。


本当に自分1人しか居なくなってしまったのかと思いかけたその時、急に人の気配がした。

それも、5つ。


バス停だ。

皆、高校の制服を着てる・・・。


どうやら、割と深く集中してしまったらしい。


あの人達と一緒にバスに乗ろう、何か分かるかもしれない。



たすくside

「ほんとに静かだな。」

まるで、神楽の街が、自分が出す音以外の音がない。


静かすぎる。


・・・嫌な感じしかしない。


式神を飛ばしながら、とりあえず学校に向かっているが生命反応は見当たらない。

それどころか・・・いや、おかいしだろ!

「なんで電車も動いてないんだよ・・・・・・。」

え、何。

夜中に避難勧告でも出た!?

え、親父に見捨てられた?

「いやいや、そんな馬鹿な・・・」

突拍子もない思考に、思わず自分で突っこむ。


その時だった。


学校に向けて飛ばしていた式神が、生命反応を見つけて帰ってきた。

どうやら、6人。

皆バス停に居るらしい。

電車が動いてないのにバスは動いてるのか?

いや・・・他の式神達は生命反応なしと帰ってきた。

ということは、十中八九動いていないだろう。

もしかしたら、知らないのかもしれない。

それか・・・何か知っているか。


兎に角、合流する必要があるな。

そうと決まれば、急ごう。







✄- - - - - - キ リ ト リ - - - - - ✄


こんにちは、ひなです((*_ _)

Яe:Pwrite第11話いかがでしたでしょうか?

前回のお話までは、各キャラごとのプロローグみたいなもので、

今回のお話から、本格的に動き出しています。

今後、どのように進んでいくのか・・・。


とりあえず、ファンタジーということだけ、お伝えしておきますね(笑)


フォロー・応援・★・レビューお待ちしてます♬.*゚




次回、第12話「集まる子供達」

どうぞお楽しみに*☆


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