ビルに潜む影

「マスター、少々厄介事が発生しました」


「……すまん、寝てたみたいだな」


 アリアの一声で目を覚ます中年の男、クロウ。小さくあくびと背伸びをすると即座に万全まで持ち直し、動き出せるのは彼の特技とも言えるだろう。


「それで、何が起きた?」


「先程送られて来た企業からの依頼メールの中で一つ状況が悪化した物があります、市街地のビルに根を張っていた怪異が、逢魔をステージ1からステージ2に引き上げたようです」

 

 逢魔にはステージが2つある。ステージ1と呼ばれる物は別次元につながる穴を開け、その中に広く浅く自らの巣を作って近づいた人を襲う物だ。人が来なければ襲えないという理由から、危険度はそこまで高くはない。


 だが、ステージ2となれば話しは違って来る。これは元の次元にかぶせるように展開した逢魔であり、自らが此処に居るぞと周囲に明言して敵を誘い込む為の積極的な狩り場である。


 その危険度はステージ1とは比較にならず、さらに其処を拠点に周囲の人々を襲うようにもなってしまう事も少なく無いのだ。


「企業の討伐部隊は?」


「先発部隊が壊滅したそうです、それ故にコチラに依頼が」


 その言葉に眉をしかめるクロウ、企業も必要最低限以上の戦力は保持している筈であるし、ある程度安全マージンを確保して兵を動かす筈だ。逆に言えばそれほどの戦力を整えて尚、力が足りないとなれば…。


「大事だな、企業付きの討伐部隊も凡蔵って訳じゃないんだろ?せめて情報ぐらいは拾って来てるのか?」


「いえ、壊滅した以外はほぼ分からないそうです、初期状態の逢魔規模を見るに小物かつ被害も少ない為緊急性が無いと判断されていたそうですが…」


「判断ミスだったな、力と知恵をつけた怪異となると厄介だ…逢魔の位置は?」


「高層ビルの中層階のみに出現しています」


 その言葉により険しい表情を浮かべ、自らの中で幾つか経験から来る仮説を立てるクロウ。そして、その中で最も最悪であるというパターンを敢えて口にしてみる事にした。


「この怪異、恐らく元は別の逢魔を持っていたな…其処で知恵と力を蓄えて今の逢魔の場所に移動した」


「怪異が逢魔を移動する事は非常に珍しいですよ?」


 その言葉に頷くクロウ、だが彼はその先の言葉を続けた。


「そりゃ誰だって自分用の家を捨てるなんて好んでやる事じゃない、それこそ家に火つけられて住む場所が無くなったり…自分より強い強盗がカチ込んで来るまではな」


「追い出される形で外に出たという事ですか?」


 アリアの目を見て頷くクロウ。


「あるいは力を蓄えたからより割の良い狩場を求め移動したか…だな?高層ビルを丸々怪異にするんじゃなくて中層階のみを逢魔にしておけば少なくとも囲んでリンチされるのは回避しやすいだろうし、上下階からの侵入ルートが限られ敵の数の把握や分断を行いやすい」


 さらに言えば高層ビルの15階程度ならば怪異の体にとって飛び降りても問題ない高さでもあり、いざとなれば逃げ出す事も可能な安全を確保した位置取りであると言えるだろう。


「それで、いかが致しましょう?報酬は8,000万…正直難易度に見合っているとは思いづらいですが」


「あまり安く買い叩かれるのも癪だな、適正だと思う金額まで引き上げて応じるようなら引き受けてくれ」


「よろしいのですか?」


「市街地のど真ん中の高層ビルを逢魔にしたんだ、まぁ…無視するのもどうだろうと思ってな」


「交渉はお任せ下さい、どうなさいます?もう一眠りしますか?」


「いや、起きてるさ」


 その言葉に頷くと、直接電話をかけてやり取りを開始し始めるアリア。5分後には1億5千万という大金を支払わせるまでの交渉を行ったのは流石のネゴシエーションスキルと言わざるを得ないだろう。



 怪異関係の仕事というのは基本的に払いが良い。それは大事になった場合の損失が100億や200億といった金額を軽々と越えて、海外から募金や支援等と言った形で金銭を受け取って復興に回さなければならない程の大事になるからだ。


 過去数度、一桁億をケチったばかりに3桁億を失った事もあるが故に、専門業者は結構な金額をふっかけ政府や一部業者等はそれに対して、涙を飲んで支払わなければならないというやや一方的な力関係になっているのも事実だろう。


 其処で政府が考えたのは工事業者及び企業との連携である。怪異関連の修繕を国手の主導で行う事にし、ダミーの中間搾取用会社を大量に作って孫請けに仕事を落とすまでに中間マージンをガッツリ取る事で金銭を浮かせ裏金を作り、対策費として利用しているのだ。


 この制度の登場により、ステージ2に到達した怪異討伐においては最低5千万スタートという法外な価格がつけられるようになった。一応推定2億超えの超大物相手であれば"イザナギ"に振り、5000万~1億8000万ぐらいならばフリーの一流にという形が一般的となったが、それでも定石を無視してケチって倍額以上の損をする事故が絶えないというのだから人の業も中々に度し難い。


 しかもこの場合損というのは金銭的な物だけではなく、人命や建造物などの物的被害もより大きくなるのだ。少なくともこういった事が公になれば、相当なスキャンダルとなる事は確かだろう。


 もっとも、自然現象や事故のせいになるのでまず公にはならないのだが。


 さて、そういう事を踏まえた上で今回のクロウの依頼金というのは非常に妥当とも言って良い。少なくともイザナギの切り札級の実力を持っているとはいえ、怪異系の依頼をフリーしか受けなかったという事実は、ある種選り好みとも取れなくもないからだ。


 特定の状況下で滅茶苦茶な強さを発揮する異能というのも確かに存在しており、その特定状況に合致しない場合は依頼を蹴るという事もよくある話なのだと言う。


 そこを含め考えると、1億以上2億以下のラインから互いに妥協点を探り合いになるのは非常に道理であり、ノンキャリアであるクロウに1億5千万も出したのはある種、それに見合った働きができるか否か、この依頼がクロウにとっての試金石であるのだ。


「という訳です」


 そんな説明を、車の運転席から長々と行うアリアの話を話半分で聞き流しつつ、今回の依頼内容の確認を何度も行い自らの頭の中で侵入ルートや脱出ルート等の構築を行うクロウ。


「アリア、少し良いか?」


「……構いませんが話ぐらいはきちんと聞いてほしいです」


 だが、意に介さずと言った様子で言葉を続けるクロウ。


「他人の評価なんてどうでも良い、それよりも、今頭の中でルート構築を行っていたんだが…仮に生存者が居た場合はどうする?」


「怪異を優先するか、救出を優先するか…ですか?」


 頷いてビルの平面図を眺めるクロウ、その眼光は鋭く…まるで彼の目には地図の上に怪異が存在していて、それを睨みつけるかのようだった。


「ああ、俺としては救出を行いたいが、それで怪異の親玉に逃げられれば本末転倒…かといって見捨てるのも目覚めが悪い」


「事件発生から既に20時間が経過しています、生存は望み薄でしょうし、仮に居たとしても…今まで生き延びれたならば、放置していても然程問題は無いかと」


「……そうかな?そうかも?」


 手にしていた見取り図を、クシャクシャと丸めてポイと車備え付けのゴミ箱へと捨てると同時に停止する車。


「到着しました」


 いつの間にか車の外に出ていたアリアが、クロウの座席のドアを開く。


「ご苦労、アリアは外部で待機、不足の事態に備えてくれ」


「承知いたしました、ですが、先に彼等と話しをつけましょうか」


 突如現れた2人を警戒するように近づいてくる軍用の身体強化スーツを着込んだ、メイド服の美女にピチパツの軍用強化スーツ着用者と来ればその対応もやむ無しという物だろう。


「止まれ、見ての通り通行止めだ」


「企業からの依頼を受けたクロウだ、通してもらえるか?」


「……上に確認を取る」


 日本国内に存在する警備隊でありながらさも当然とばかりに銃器を携える彼等は、自衛隊と同じ装備を持っているが実際には自衛隊ではない。どちらかと言えば日本国軍とでも言うべき存在であり、から日本を守る為の軍隊と言っても良いだろう。


 もっとも、そのトリガーは国ではなく出資している企業が握る事で、軍ではなくPMC民間軍事会社という形で国内に籍を置いているという、なんとも曖昧な立ち位置なのだ。国営でありながら企業に雇われる形というのが一番正しいと思われる。


「確認が取れた、報酬通りの活躍を期待するとの事だ、必要なら我々の指揮権も移譲するとの事だが…」


「必要無い、少数で内部に突入して叩くのが今回はベストだ」


「そうか、プロが言うならそうなんだろうな」


「アンタもプロだろ、周囲にザコが逃げ出したら対処を頼む…念の為に相棒を置いていくが……口説いたりするなよ?変に怒らせると今回出張ってる怪異が児戯に見えるような大惨事が起きるぞ?」


 と、軽く冗談めかして言うが目は笑っていないクロウ。そして正しく彼の言葉を理解したのか兵は小さくコクリと頷いた、おそらくアリアの実力を見抜いての反応なのだろう。


「アリア、異常があれば即座に連絡を、後外部からの監視も怠るな」


「心得ております、お早いお帰りを」


 見送りの言葉を背に、摩天楼を望むクロウは異能を纏い歩き出す。


「狩りの時間だ」


 気取るでもなく、ただ只管に自然な言葉としてそう口にすると未だ目に見えぬ怪異を射抜くように視線を飛ばしビルの内部へと分け入るクロウであった。



 ビルの内部、1Fのホールは何処までも静かであり人と怪異の気配を感じさせない。人の雑踏や熱は無く、大理石の冷たさと水を打ったような静けさが肌を刺す中で、クロウは堂々とエレベーターのボタンを押した。


「電気は生きているよな?」


 だが、エレベーターは10階から動く様子を見せない。おそらくは何らかの形で使用できないようにしているのだろう。事前情報から割り出した通り、逢魔の主はかなりの知恵を持っているらしい。


「逢魔は恐らく10階から20階の間か…」


 少々げんなりとした顔で階段を見つめるクロウ、正直そこまで階段で上がるのも相手に乗せられているようで好ましくない。


「やっぱりエレベーターか」


 クロウはエレベーターの扉を無理やり開け放つと、その狭い空間の中を三角跳びで壁を蹴り上がり上昇していく。大凡人間業とは思えないソレを可能にするのは軍用強化スーツによる補佐もあるが、それ以上に卓越したクロウの体捌きの側面が大きいだろう。


 ふと、頭上に視線を向けると停止しているエレベーターを見つたクロウ、恐らく其処が10階という事なのだろう。エレベーターに手を掛け、音を鳴らさないように上に飛び乗ると、僅かな違和感と共に先程まで上がってきていた空間が黒塗りに飲まれて行く。


「ッ!?罠か!?」


 どうやら逢魔の出入り口にステージ1の小型の逢魔を作っていたらしい、ある種入れ子構造に近いだろう。これにより外部よりの侵入こそ簡単ではあるが、外に出るには怪異の主を撃破するか出入り口の逢魔を力で破壊するしかなくなる。


 逢魔を直接攻撃で破壊できる程の術者であれば、逢魔を作った怪異は破壊された時点で逃げ出す可能性は非常に高い。やはりというか、今回の相手はかなり頭がキレる…いや、と言った方が良いだろうか?


「念の為に」


 認識を改め、其処で初めてクロウがその異能を発揮する。クロウの手に持たれていたのはサイレンサー付きの白いハンドガン。H&K MARK 23に非常に酷似しているが凝ったエンブレムやパーツのデザイン性が非常に高い物が使われている。


 スライドに刻まれた繊細な八咫烏彫りや、安全装置が羽の形になっていたり、撃鉄が羽ばたくカラスになっているのは相当な凝りようである。


 芸術品とでも呼ぶべきソレは、クロウの異能によって作り出された物であり本物ではない。もっとも、全ての性能において本物を上回っているのだが。


 ゆっくりとエレベーターの天井を開き、音もなく内部に降りるとがっちゃんがっちゃんとエレベーターの扉が開いては締りを繰り返しているのを見つけるクロウ。どうやら倒されたキャビネットでエレベーターを封鎖していたらしい。


「フー…」


 軽く息を吐いてエレベーターの外を覗く、敵影無し。そう判断し特殊部隊さながらにすばやく外に出て、柱の影に身を隠すクロウ。今度は手鏡を取り出し柱の向こう側を探っていく。


「……このフロアには怪異が居ないのか?」


 嫌な予感を感じるが進む意外の選択肢は無い、そう決意してゆっくりと歩き出すクロウだが3歩も歩かない間に妙な感覚を覚える。


「惑わせ、古典的だな」


 違和感の正体は方向感覚の喪失、東西南北のどちらを向いているのか分からず、自らもの居る位置ですら大雑把にしか分からない。主に長く生きた狐や狸がイタズラに使う物であるが、完全な方向感覚の喪失となると中々に厄介だ。


 通常であればタバコの煙等で風の向きを常に確認しながら一方に歩き続ければ抜けれる、あるいは眉にツバを付けて風を感じながら進むのも良いだろう。余談だが、眉唾の語源はこの方法にあるとも言われているとか。


 話は戻るが、此処は風の流れさえ無いビルの一室であり風は無い。古めかしい対抗術でも使えれば楽に解除できるのだろうが、クロウは無論そんな小器用な事は出来ない。窓を割って無理に風を作ってもいいが敵が集まり騒がしくなるのも面倒である…となれば選択肢は一つ。


「………スマホ使うか」


 スマホでコンパスアプリを起動し、方角を随時確認しながら歩き始めるクロウ。やはりというか…文明の力は強かった。ちなみにGPSが使えるのはステージ2の逢魔だけなので注意が必要である。


 一先ずは問題なくフロアを散策していると、ふと、何者かの気配を感じ取り緩やかな足取りになる。妙な違和感を覚えながらも慎重にフロア内部を踏破していくピチパツスーツの大男。


 倒れたキャビネットや机、砕けたパーテーションや飛び散る書類と血しぶき…だが死体は存在せず、同時に天井付近に傷は存在していない。つまり怪異はこのフロアの天井に収まる程度の高さ、即ち2~3m程であり上方向への攻撃能力は高く無く、同時に横方向への攻撃性能は高い傾向にあり、体重も比較的軽い。


 又、死体の破片や髪の毛や臓腑がブチまけられた様子も無い事から、余程のキレイ好きか丸呑みや麻痺毒、洗脳等の無力化しての捕縛を行えるタイプの怪異が居るという事になる。


(となれば……土蜘蛛か?)


 先の出入り口を塞ぐ入れ子構造の逢魔、これまでの高い知性を感じさせる誘い込むかのような行動等を踏まえた上での敵の予想が出たのと、気配の元にたどり着いたのは同タイミングであった。


「……女子トイレかよ」


 女子トイレ前で入る事に若干の躊躇いを覚えながらも慎重に侵入、ふと、唯一扉が閉じているそのトイレがあったので、近づくとコンコンとノックを行った。


「ヒッ!?」


「声…アンタ人間か?」


 逢魔が展開してから既に21時間近く経過している。企業の部隊も壊滅しているような危険な状況で、一般人が生き残っているとも思えないと思いながらも、一応の確認は必要と判断したクロウ。


 あるいはこのフロアの特異性であれば生存の可能性も0では無いと思ったののだがどうやら今回はドンピシャだったらしい、ペイ給料の範囲外ではあるが人命優先へと頭を切り替える。


「救出に来た、とはいっても此処の親玉をなんとかしないとダメなんだが…アンタが今置かれてる状況は分かるか?」


「なんだかよく分からない化物が現れて、皆連れ去られて……私、私ッ!!!」


「OK落ち着け、いや…十分落ち着いてるな、普通ならすぐ助けろだのなんだの叫ぶ奴が多い中アンタは十分に理解出来てる、あまり騒がず落ち着くのが最善だ…だから今アンタはそうやって生き残ってる、分かるか?」


「ち、違うの、私、その…妖精が見えて…」


 その言葉に首をかしげるクロウ、だが数秒の後に全ての状況が一本の線で繋がった。


「アンタ、妖精を使えるのか?」


「バカげてる話なんだけど、その…小さい時アイルランドで暮らしてたら、妖精と仲良くなって今でもずっと友達で…」


「だからこのフロア一帯がGPS無しで歩けない状態になってた訳か、いや、敵の惑わしじゃないと分かっただけ状況が好転したか?」


 道理でフロアに怪異が居ない筈だと頷く、やっている事としてはステージ2の逢魔の中でさらにステージ2の逢魔を張るというかなりの高等技術なのだが、妖精の来歴は長くそういった技術が発達していても不自然では無い。


「あ、あの!それで、私は何時までこうしてれば…」


「先も言ったが俺が此処の親玉を潰してからだ、まぁ…1時間以内って所だな」


「よ、妖精がこの結界が後5分も保たないって行ってるのよ…」


「ああ…術はあれでも姿は無しって時点で気づくべきだったか、妖精は力を使いすぎてもう姿すら見せられなくなってる訳だな…いや、むしろ妖精風情が良くも20時間以上持たせたと称賛すべきか、アンタは相当妖精に愛されてるらしい」


「それで、できれば先に私を外に送って欲しいのだけれど…」


「ソイツが中々難しい話でなぁ…あんたの同僚を捉えた奴を仕留めないと、外に出れず俺の仕事も終わらないのさ、其処でなんだが…生き残る確立は五分五分だが俺と一緒に行動するか?」


「い、今からあのデカイのを倒しに行くのよね貴方…私がついていったら足手まといになるんじゃ…」


「正直俺の後ろに居ても此処に隠れてても危険度で言えばほぼ同じだろうさ、俺も可能な限りアンタを守るが完璧って訳じゃない、だからアンタが選べ」


 必要なのはお前の選択であるとばかりに言い放つ。正直な話クロウにも何方が良いか等は分からないのだ、だからこそ彼女が自らの運命を選ぶ必要がある。


 生きるという事は、つまりはそういう事なのだ。


「……ついて、行くわ」


 キィと、開かれる女子トイレの扉。其処には如何にも社長秘書と言った風貌のメガネをかけ、口元に黒子を携えたOL美人が居た。


「決まりだな、俺の名前はクロウ、まぁ化物専門の荒事屋って所だ」


「私は…上原夏美、あの…失礼かもしれないのだけれど、貴方のその格好は?」


 思わずクロウの姿に唖然とする上原、まぁ実際187cmの筋肉ムキムキの男がピチパツのインナーにも見えなくない全身スーツを着ていると結構な威圧感があるだろう。


「軍用モデルの身体強化用のスーツだ、外付けの筋肉みたいなもんだと思ってくれ、珍しいだろ?」


「え、ええ…とても……セクシーね」


「はは、世辞が上手いな…さて、こっからは結構危険になる、アンタも気を引き締めてくれ」


 そういって、踵を返して歩き出すクロウ。上原もやや遅れて付いていくも、その視線はクロウの尻に釘付けになるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る