授業中でも関係なく本を読む小学生いるよな。私です。
むらた
第1話
授業中も朝会も体育の時間もずっと本を読んでいた。小学4年生の時にはモモ、ハリーポッター、ナルニア物語を読んで世の中にある面白い読み物をだいたい読み尽くした気になったので、人間関係に意識を向けることにした。社交性の芽生えである。細く伸びやかな同級生たちを選り好んで褒めて関係を築いた。本で読んだところによると褒めるといい関係になるようだった。現実でも本で読んだことが使えるので安心した。授業中は本を読み、休み時間は友だちと過ごすようになる。
小学5年生になって引っ越しと転校があった。とりあえず席の近くに来た人は褒めておく。女の子はぷにぷにすべすべでかわいい。男の子とはドキドキするから長いことは話せない。固いようだから問題はない。私はクラスのみんなのことが基本的に好きだと言ったことで男の子に「大好き」と言って回ることになった。今考えるといじめだと思うが、好きをなんでもないことのように、性欲が絡まないことのように扱うことが耳年増な私にとってかっこいいことと思えていたのでまあやったな。2、3人の女の子が後ろについていたと思う。男の子の反応含め面白がっていたのだ。高度やな。転校後1週間以内でどんなやつだとクラスの奴から見定められていた時期にあたる。
私も様子見の時期だった。1週間も経てばまあ大丈夫やろと思って再開した。授業中の読書を。小5だとまだまだ授業を聞かなくても教科書を読んでれば事足りる。隠れるように読んでるが全授業で読んでればまあ先生は気づく。当然先生は注意するがうんうんと頷いてまた読書に戻る。嫌なやつやな。先生は他にやることがあるからしばらく読める。しばらくが過ぎるとまだ読んでることに先生は気づく。再度注意する。曖昧に頷いてまた読書する。先生は実力行使に出る。本を取り上げに来る。まだ読んでる途中でしょうがあ!と私は本を離さない。抵抗している子供に大人の力を行使すると引っ叩くことになる。引っ叩いてやればいいんだそんなやつ。まあ先生は良心と常識があるからそこまでやらない。時間もない。私には時間が沢山ある。読みにくいけど引っ張り合っている間も読めるし。膠着状態はいつも先生側が諦めることで終わる。私は「守られた」本を読み始める。注目していた周りの子も視線を自習課題に戻す。
ほんとにやな生徒だぜ。そんな感じで着々と自分のやりたいことをやりたい放題しているうちに修学旅行があった。修学旅行といえば布団に潜っての雑談だ。そこで先生に抵抗するのすごい、という評価が私に与えられたために一気に打ち解けた。旅行中のテンションやな。そこでくりくりした髪かわいいね。肌つるつるだね。などと褒め合い友情を深めるなどした。女の子かわいい。男子にも軽々しく「大好き」と言っていたし読書のために先生に抵抗するしでよくわからんやつやなと正しくみんなが遠巻きにしていたために転校後は友達と言える友達がいなかったのでくりくり髪の子と布団の上をごろごろ転げ回った時はすごく嬉しかった。修学旅行万歳。
私の授業中も読書!ライフが終わったのは中二の時だ。すごく怒られたのだ。めっちゃ泣いた。もうしません、と言った。まあもっと早くそうなるべきだったけどこいつほんとにどうにかしなきゃだめだと心配する優しさと泣かしてでも直すという胆力とあと時間を合わせ持つ先生が中二の時の数学の先生だった。とにかく寝たら忘れるのがデフォルトの私でも説諭の時間の恐怖は授業中に本を開こうとするたびに蘇り、そうこうして授業を聞いてるうちにこれは教科書読んでもわからんやつだからきちんと聞かねばと気づき、聞かないとやばい授業では読書はしないように努力した。説諭の恐怖が高校でも戒めになってたのでまじでいい先生なのだと思う。でも怖い。あと中二の数学くらいから難しくなってくから教科担当としての責務も感じてたんやろな。
そんな私でも今では本を読まずに仕事をしている。偉すぎる。周りにいる人とコミュニケーションをとり、とりあえずチームの一員として仕事を頼んだり頼まれたりしている。奇跡すぎ。基本スタンスは人と話したくない、なのでほうれん草がとにかく苦手でめちゃくちゃ労働に向いてない感はあるけども今3年目や。仕事して金を得て遊ぶ大人ができてるのは本当にすごい。
授業中でも関係なく本を読む小学生いるよな。私です。 むらた @muratamurata
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