第13話 僕と前田さん

上履きのまま、学校を抜け出し、あてもなく歩いた。

前田さんは何も言わず、下を向いて付いて来てくれた。

けど、握る手は震え、しっかり握ってくれていた。


雪が制服に積もり出していた。

彼女も寒そうだった。

お金も無いのでファミレスにも入れず、僕らUターンする様に学校に戻っていた。


「教室に戻るんじゃなくて、靴に履き替えて家に帰ろう」


前田さんは何も言わなかった。

下駄箱で学年の違う先生に見つかってしまったが、走って逃げた。

彼女も走ってくれた。


そして僕らは、そのまま自分の家に向かった。

別れ際に「また明日、学校で」と言うのが精一杯だった。

ただ、それだけだった。

何も始まらなかった。

本当にそれだけだった。

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