第3話 歩く

駅から出て、小さい商店街を歩く。

つい最近、来た時より寂れているのは気のせいだろうか? それとも僕の精神状態に左右されているのか?


コロッケ屋の前を通る。

変な記憶が蘇る。


彼女はコロッケが嫌いだった。

逆に僕はコロッケが大好物で彼女は良く我慢して食べていた。

その時は嫌いという事は知らなかったが、彼女曰く好きな人の「好き」は自分も好きにならないと駄目と決めていたらしい。


変な話だ。


強要が恋愛に必須などあり得ない。

妥協し合えるから、支え合える筈だ。

好きな者同士だったら、尚更と思う。


嫌いな物も言えない仲など壊してしまえば良い。


だから壊す事にした。


壊さないと駄目だから。

彼女は分かってくれないだろう。


そうだ。コロッケを買って行こう。

これでまだコロッケを食べるなら彼女は駄目だ。

もう別れるしかない。


一緒に歩けない。





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