僕と天音が付き合うまで その15 (女子会その3)


 井の頭恩賜公園、恩賜って言うのは…………まあググってください。


ボートの営業開始まで まだ時間があったので二人並んで公園内を散策…………!!!



「ちょっ天音!」


「な~に?」


「う、腕……」

 天音が僕の腕に腕を絡ませている……要するに腕を組んできた……えええええええ

遂に僕と接触しても平気に、ちょっと前まで触れる事もできなかったのに……


「あ、そうだ! 日焼け止め塗らないと~」

 そう言うと天音はカバンから日焼け止めを出す……そして自分の手にたらし

 ペトペトと塗り付ける……僕の腕に……え、えええええええええええええええええええ


「わーー、朋ちゃんの腕すべすべ~~」


「ちょっ!!」

半袖の隙間から脇近くまで手を入れ塗り始める天音……僕はくすぐったくて身をよじる。


「朋ちゃん動かないで~塗れないよ~~」


「ちょ、さすがに……それは……」


「はい反対側~~」


「まだするの?」


「焼けちゃったら痛い痛いだよ~~」


「いや、そうなんだろうけど……」

 端からみたらバカップルに見えるんだろう……いや違うか……百合バカップル……


「は~~い塗り終わったよ~~、あ、足も」


「だ、大丈夫! ほらちょっとしか出てないから!」


「でも朋ちゃん私より足長いから、膝下が~~」


「大丈夫、長めの靴下履いてるから!」


「うーーん、だったらストッキング履かせれば良かったかな~、あ、今コンビニとかで買いに行けば」


「いいです、大丈夫!!!!」

僕は全力で拒否する、だってそんなもの履いたら本当の変態に!


「えーーー、じゃあ自分で塗ってよ~、はい交代ね」

そう言って天音は僕に日焼け止めクリームを渡す…………え?


「うん………………え?交代?」

僕がそう言うと天音は僕の前にその細く白い腕を突き出す。


「塗って~~」

 塗って~~~塗って~~~塗って~~~頭の中でこだまのようにその言葉が何度も繰り返される……僕はわけがわからなくなり、手にクリームをたらし、天音の腕に塗りつけた。


「ああん、くすぐったいいい」

 僕が腕に触り天音がそう言った瞬間に我に帰る!!!


「な、な、な、何をさせるううううううううううう!!!」


「えーー? 何って、日焼け止めクリームを塗ってもらって」


「それはわかってる、そうじゃなくて、なんで僕に塗らせるんだ?」


「えーー、だってほらこのへんとか塗りにくいし、利き手側だとちょっと大変だし」

 天音が二の腕の下辺りを指差すが、僕の目線にちょうど袖から脇の辺りがチラチラと見えドキッとする。


「え……いや……まあ……そう言われればそうなのかも知れないけど……」


「でしょ? はいお願い」

 そう言うと天音は反対側の腕を出す……ううう、すべすべしてる……

 僕はあまり天音の顔を見ないようにしながら天音の腕に日焼け止めを塗った……


「朋ちゃんありがとう~~じゃあ後は足に塗ろっか? そこのベンチで」

 池の見える木陰のベンチに二人で座る、どこからかバイオリンの演奏の音が聞こえる、草の焼ける匂い、池の方から吹く風は夏を思わせない心地よい温度となって僕と天音にそそぐ。


「天音って変わってるよね」


「えーー? そう?」


「うん、でも……それが本当の天音なんだね」


「それってバカにしてる?」


「ううん、誉めてる」


「ふふふ、じゃお礼を言っておくよ、ありがと……朋ちゃん」

 制服姿の女子(一人は男子!)二人でベンチに腰掛け足に日焼け止めを塗っているという姿を考えると、二人とも変わってるとしか思えないけど……

 そう考えてふと天音方を向く!!!!


スカートをかなりたくしあげ、膝上位まで見せながらクリームを塗っている!


「あ、天音……み、見えちゃうよ!!」


「え? 大丈夫だよ朋ちゃん、夏スカートの生地って薄いからこのくらいまで塗らないと、ほら朋ちゃんも」

 そう言うと天音は僕のスカートを引っ張りあげる、僕は慌ててスカートを押さえた。


「いやダメ、見えちゃう」


 目の前を走っていたおじさんが僕たちを注視している、ダメばれちゃう!!


「ほら、この辺まで塗らないと~~」


「やめて、ちょっと天音ってば~~」

 なんか、僕……女の子みたいなしゃべり方してない? でもスカート捲られるなんて体験したことないから、なんかつい……


 なんとか大事な所は死守、僕が何を履いているか誰にもバレずにクリーム塗り終わる、何を履いているかは生涯の秘密に……


 「そろそろボート乗り場に行こう」

 ちょうど営業時間になったので二人でボート乗り場に行く。


 ボートは3種類、手漕ぎタイプのよくある舟のタイプ、屋根の付いたペダルを漕ぐタイプ、白鳥の形をしたタイプ……うーーーん普通のやつ?


 天音は何でもいいよと言うので普通の手漕タイプの舟に乗る。

乗り込むときにバランスが悪く危険なので、僕が先に乗り込み天音の手を握る。


なんか僕も天音と接触する事に慣れてきていた。


「きゃあああ」

 揺れるボートにきゃあきゃあと笑いながら乗り込む二人を笑顔で見送ってくれる係員のおじさんに手を振りながらボートを出航させた。


「む、難しい……」


「頑張れ朋ちゃん~~」

 僕の前に座り、天音が応援してくれる、一応こんな格好でも男なんで少しはいいところ見せないと……とはいえ、初めての経験、なかなか真っ直ぐに進まない


「いっちに~~いっちに~~」


 天音の掛け声に合わせてボート漕ぐ、腕だけじゃなく全身を使うように、奥から手前に引き付けるように足を突っ張り漕ぐ、おおおお!


「凄い~~~朋ちゃん上手い~~~」

 パチパチ拍手をする天音……なんかいい気分になってきた♪

まだ開店直後なので池には僕らだけ、遠くから子供がこっちに向かって手を振っている。


 それに手を振り返しながら、池の真ん中に向かって漕いでいき、そのままぐるぐるとあてもなく漕いでいた。


「気持ち良いね~~癖になりそう、ちょっと疲れるけどね」


「あ、疲れるよね? 私代わるよ?」


「え? ああ、大丈夫だよ」


「ううん、私も漕ぎたいし」


「ああ、そうだよね、じゃあ」


 二人に同時に立ち上がると、舟が大きく揺れる。


「きゃああああ」

天音が小さく悲鳴をあげる!!


「危ない!!!」


僕は慌てて天音を強く抱き締めると、さらに大きく揺れた!


瞬間立ってるのは危険だと反射的に僕は椅子の部分に座った……天音を僕の胸に抱き締めながら……


 天音の頭が僕の目の前にある、髪からシャンプーの凄くいい匂いがする。


「だ、大丈夫!!」

 僕がそう言うと、天音がゆっくり顔を上げた!!


 眼鏡が半分ずり落ちている、片眼だけ見えたその顔……


「やっぱり天音って……可愛い…………というか……」


「あ……、きゃあああ」

慌てて僕から離れ反対側に座り眼鏡を直す


「危ないって、ゆっくり動いて天音」


「ご、ごめんなさい、あああ」

 スカートとの裾が捲れ太ももが露に……そして………………白……

 天音は慌ててスカートを直し僕をじっと見つめそして


「朋ちゃん……みたでしょ!」


「み、みてない、みてないって」


「本当に?」


「うん、本当に……」


「あーーーなん嘘っぽい~~~」


「え、えっと……ちょっとだけ……」


「ほら~~~朋ちゃんのエッチ!」


「ごめん」


「ううん、いいよ……後で朋ちゃんの見せてね~~」


「え? や、やだよ~~」

 無理、絶対に無理!!


「見せないと、おあいこにならないでしょ~~~」

 笑顔でそう言う天音に、僕は全力で首を降り拒否をした。



 どうしよう、天音と一緒にいるのが楽しくてしょうがない、なんだろこんな事って今までなかった……


 でも、天音の顔ってどこかで見たような、えっと……どこで?



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