僕と天音が付き合うまで その16 (女子会その4)
「つ、冷たい~~水が~~」
「え、あ、ごめんね~~」
「ああ、またあ、もっとオールを深く入れるんだよ~~」
「でも、そうすると重いんだもん~~」
天音と何度か漕ぎ手を交代しつつボートに乗る、途中魚が跳ねたりオールで水を弾いたりする毎に二人でキャーキャー騒ぎながらボートに乗っていた。
「あ、化粧落ちちゃう」
「ウォータプルーフだから大丈夫だよ」
「ウォータプルーフ?」
「うん濡れても落ちない奴、あ、でももうちょっと塗っておこうか、朋ちゃん綺麗で塗る必要なくて薄めに塗ってたから日焼けしちゃう」
天音はそういうと、僕の隣に座り化粧ポーチからファンデーションを取り出す、
狭い舟、横に座ると完全に密着状態……そしてその状態で天音が顔を近づけてくる……
「えっと……天音」
「朋ちゃん動かないでね~~~はい目を瞑って~~」
キスでもするかの如く密着する僕と天音……近い、天音から良い香りがする……
「朋ちゃん?」
「あ、ごめん……えっと、そろそろ1時間経っちゃうから戻らないと」
「え? もうそんな経つ? じゃあ後でするね」
天音はそういうと腰を低くしながら向かい側に戻り座り直した。
僕は天音が座ったのを確認すると、再び舟を漕ぎ始め船着き場に向かった…………
ヤバかった…………僕……、今一瞬……天音を抱きしめそうになった……なぜ?
船着き場に戻り、係員のおじさんに「お帰り」と声をかけられ、先に天音が降りる、僕が続いて降りようとすると、天音が僕に手を差しのべる……
「はい朋ちゃん捕まって」
天音の笑顔、その差しのべられた手にドキドキする…………あれ? なんだろう、今一瞬天音が…………リンに見えた……画面の向こうで僕に手を差しのべるリンのキャラクターと天音が同じに見えた……
「ありがとう」
僕はそう言い天音の手を握り舟を降りる、天音のひんやりした柔らかい手のひらを握ると、さらにドキドキが増す。
僕、どうしちゃったんだろう、なんだこの感覚……
「あ、帽子が曲がってる」
そう言うと僕の頭を背伸びして触る、僕と天音はあまり背が変わらない……若干僕の方が高い位、その天音が僕の頭の上の帽子を背伸びして直す、自然と僕は腰を少しだけ曲げて頭を下げる……僕のすぐ目の前に……天音の胸が……
小さいと言っていたが当然ながら僕よりあるその胸が僕の目の前に……
「きゃ!」
その時天音がバランスを崩し僕に倒れかかる、僕は天音の身体を受け止める……
僕の顔が天音の胸に埋まる…………ああ、なんて良い香り……そして柔らかい…………天国……………………って、えええええええええええ
「ごめん、朋ちゃん大丈夫?」
僕の頭を抱きながら天音が言う、ああ、人生初パフパフがこんなタイミングで、しかも相手は義理の妹……
「だ、だひりょうぶ……」
「朋ちゃん、だ大丈夫?」
「うん、だひりょうぶう」
「全然大丈夫そうじゃないよ、ちょっとそこに座ろ」
天音が僕の手を握り、僕を引っ張って行きベンチに座らせる。
「ちょっと待ってて、今飲み物買って来るから」
そう言うと天音はスカートを翻し、売店に走って行く……
「あ、ごめん」
僕がそう言うまもなく売店に入って行く天音……自分でも分かる、僕の顔は今真っ赤だ……多分天音は熱中症と勘違いしたんだろう、でも本当の事なんて言えない……天音の胸に興奮した……なんて
天音が売店からソフトクリームと水を買って戻ってくる。
「はい朋ちゃん水飲んで」
「あ、うん、ごめん」
「大丈夫? 顔が真っ赤だったよ、熱中症かな?、もっと涼しい所に行く?」
僕はごくごくと水を飲み一旦自分を落ち着かせる。
「大丈夫、ちょっとボートを張り切って漕ぎすぎただけ」
「ああ、そうか、ごめんね、最後時間無くなって凄いスピードで戻ったもんね」
天音は持っていたソフトクリームをペロリと一舐めする、その赤い舌先にさらにドキドキする
そして天音はそのソフトクリームを僕に向け言った。
「はいソフトクリーム食べて身体を冷やそう、冷たくて美味しいよ~~~」
「え!」
「ほら、溶けちゃう、あ、手に~~早く早く」
僕の口元にソフトクリームを近づけ早くと促す……えええ、これって間接キスって奴じゃ……
わけがわからず促されるまま、僕はそのソフトクリームをパクりと一口食べる…………キーーーーーーン
「あはははは、キーーンってなった顔してる~~朋ちゃん可愛いい」
そう言いいながら天音も一口パクりと食べると
「ああああ、私も~~~~キーンってキーーーーーーンってええええ」
二人で笑い合う、ヤバい、なんだ、楽しくて仕方がない……今まで女の子と何度か出掛けたけど、こんなに楽しかった事なかった……
生まれて初めての経験だった、デートと言って良いのか分からないが、少なくとも僕は異性と一緒にいてこんなに楽しいと思った事って今までなかった…………いや、リンだ、リンと一緒にネットの中でデートをしている時と同じ感覚だ、いや……ひょっとしてそれ以上かも…………リン……ごめん……僕……
「朋ちゃん本当に大丈夫? 今度はボーーっとしちゃって」
「あ、ごめん大丈夫、ちょっと考え事、さてどうしよっか?」
「本当に大丈夫? うーーーんじゃあ涼しい所に行こうか、デパートでお買い物とか」
「ああ、うんそうだね、やっぱり暑いしね」
「うん、じゃあ行こう、私買いたい物あるんだ~~」
「うん、あ、ごめん、ちょっとトイレに」
朝、喫茶店でコーヒーを飲み、今さらに水をがぶ飲みし、ソフトクリームで身体が冷えたせいか……
「うん、朋ちゃんいっといれ~~~」
「あはははは、なに? その親父ギャグ」
僕は立ち上がりトイレに向かおうとし一歩踏み出して……立ち止まりそして、天音に振り向く……
「え? 朋ちゃん、今度は顔が青いよ、大丈夫?」
そう……僕は今、大変な事に気が付いた…………
「ねえ……天音……僕……どっちに入るの?」
【あとがき】
フォロー、★レビュー、♥エピソードに応援ありがとうございます。
引き続き応援よろしくお願いいたします。
特に★レビューをよろしくお願いいたします。
現在他にも作品集中更新中です。
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054884994656
妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ。
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054890642651
国による恋人マッチングシステムを使ったら、選ばれたのは隣の席の大嫌いな女子だった。
こちらも合わせてよろしくお願いいたします。
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