僕と天音が付き合うまで その7(義妹のお願いは仮想恋人)
やったやったやった!!!
リンに会える、リンに逢える!!
昨晩からウキウキ気分、夜寝れなくそのまま朝を迎え、そのまま学校に、そしてあっという間に帰宅途中、まだまだウキウキ気分
「さあ今晩もリンとラブラブネトゲデートだ!!」
僕はスキップでも踏むように家に帰る。
玄関で鍵を開け扉を開けた瞬間、僕のウキウキ気分は、一気に覚める……
目の前に、ほぼ1年、挨拶所か目も録に合わせなかった義理の妹が正座をしていた。
全く状況が分からない、そして僕の顔を見た途端深々とお辞儀、頭を床に擦り付ける。
え?何?何なの?僕が戸惑っていると彼女は言った……
「お、おに、お兄ちゃん!!お願いがありまひゅ……」
「ありまひゅ?」
「あります」
「お兄ちゃん?」
「…………お兄、さ、ん、に、お、ね、が、い、が、あ、り、ま、す」
「言い直した!……えっととりあえず頭を上げて貰えませんか」
「いえ、このままで」
「いや、声が小さくて聞こえない……」
「ごめんなさい目が見れません……」
少し大きめな声で妹は言う……
「へえ……」
とりあえず話しは聞くからリビングに行こうと促す。
妹は僕と目を合わさずに立ち上がるが、ずっと正座をしてたのかフラついてしまう。
危ないと思い、手を差し伸べると……
「いやああああああああ!!!」
僕の手を叩きそのまま、よろめき壁にぶつかる。
「いったああああ」
僕が叩かれた手を擦り言うと
「ああああああ、ごめ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
再び土下座をする妹、なんだこいつ?
「いいから……とりあえずリビングに……」
「はい……」
二人でリビングに入り僕は先に椅子に座る、妹は目を合わさずに、うつ向いたまま向かいに座る。
「…………」
「…………」
黙ったまま、うつ向いている妹……なんで僕から喋るんだ?
「えっと、一体どういう風の吹き回し?」
「ひいっ!、あ!す、すみません、すみません」
「えっと、謝られても……話しが進まないのでとりあえずお願いってのは?」
「はい……えっとえっと、その前に、今までごめんなさい、私男の人が苦手で……」
「まあ、見れば分かるよ、ああ、それで最初から……」
まあ仕方ない、そう言う事で心にもない事を言ってしまうんだろうな……
「はい……つい本音が出ちゃうんです……」
「……じゃあ僕は部屋に戻るね」
「ああああああ、違うんです、えっと、えっと、良い意味です、良い意味で本音が」
「僕に対してなよなよして女みたいってセリフの何処に良い意味があるのかな?」
「えっと、全部覚えてるんですね、本当に執念深い……ってあああああああ」
「何?何なの?、喧嘩売ってるの?」
「いえ、めっそうもありません、私の方が強そうなんて思ってません」
「じゃあ僕は本当にこれで……」
「ごめんなさいいいいいい、どうしても拒絶の言葉を言ってしまうんですうううう」
「めんどくさいな~~~」
「ううううすみません……でもお兄さんも私にメガネブスって………………最低……」
「売り言葉に買い言葉でしたすみません」
「謝れば良いってもんじゃ……」
「うん、そうだね、そうなんだけど、おまいう?って感じだよね、それに君は僕に頼みがあるんじゃなかったっけ?」
「そうでしたあああああ、申し訳ありませんでしたああああああ」
「……で、一体なんなの急に」
「わ、私どうしてもこ、この症状を治したいんですううう」
「まあ、治した方が良いよね確かに、でもなんで僕?」
「えっと、消去法?」
「他をあたって下さい」
僕は立ち上がる
「ち、違うんですうううう、ごめんなさいいいいい」
「あのさ、謝れば何とかなるとか思ってない?」
「思ってません!、チョロいなんて思ってません、あ……」
「……本当に喧嘩売ってるわけじゃないんだよね?」
「はい、ごめんなさい」
「うーーん、まあいいよ、で?僕は何をすればいいんだ?」
「私、どうしても夏休みまでに、この男性恐怖症を治したいんです……だから、……わ、私の仮想恋人になってください!!」
「はい?」
「私好きな人が居るんです、でもこんな状態じゃあ……だからお願いします、頼れるのはお兄さんしか居ません!!」
「え~~~僕だって好きな人が居るからそれはその人に対して不誠実な気が……」
「え?どんな男の人何ですか?お兄さんの好きな人って、詳しく!」
「女の子だ!」
「え!」
「え!じゃない、僕はノーマルだ!」
「えええ!、そうしたら仮想恋人とかってフラグになっちゃうじゃないですか!」
「なんだよフラグって」
「私、お兄さんとなんて、絶対にないんで本気にとかならないで下さい」
「あのね、僕はまだやるなんて言ってないんだけど」
「えええええええええ、お願いしますうううううう」
米つきバッタの様に再び頭を下げる妹……初めてまともに喋ったけど……
なんか……偉いめんどくさい奴が妹になったと実感した……
でも、なんかデジャブを感じるんだけど、気のせいかな?
「それで、仮想恋人って何をすればいいんだ?」
「何をする気何ですか!、いやらしい……」
どうでもいいけど僕の目を一切見ないでこういう事を言っている……
「なるほど、僕は君の暴言に耐えて、君の為に恋人の振りをして君のその症状を治す協力をしろと……」
「はい!お願いいたします!」
「だが断る!!!」
「ええええええええええええええええ」
「なんで僕がそこまで君の為にしなくちゃならないんだ?」
「お兄さんしかいないんですううううう」
「クラスの男子とかに頼めば?」
「もう私に話しかけてくる人なんていないんですううううう」
「みんなそうやって拒絶したんだろ!」
「だって近づいて来られたら怖いんだもん」
「だからってそんな拒絶の言葉を吐く方が怖くないか?、恨みを買うだろ?」
「大丈夫です、恨みを買うより逆に怖がられていますので一石二鳥です!」
「どう考えても二兎追うもの一兎をのような」
「寄って来られないだけ確実に一兎は得てます!」
「どうでも良いけど僕に利点はまるでないよね!」
「それは……美智瑠さんが言ってたから、私との関係に悩んでるって」
「うん、まあそれは」
「だからこれは私達の為でもあるんです、お願いします」
妹は深々とお辞儀をする……
「……好きな人がいるって言ってたよな」
「はい……」
「その人の為に?」
「はい……私の大切な人……私の理想の人なんです、優しくて、誠実で、頼りがいがあって、その人の為なら何だってやります……」
彼女は一瞬僕の顔を見る、そして再びうつ向く……でも何とかしたいという思いは伝わってきた……
「そして、あの……私目は合わせられないですけど、男の人とここまで直接話せたのは本当に久しぶりで……お兄さんとなら、頑張れそうな気が…………」
「そうなんだ…………僕も分かるよ、凄くよく分かる、僕もそうだった、彼女から勇気を貰った…………うん……分かった、協力する!君の…………天音の恋に協力する!」
「本当に?!」
「ああ、協力するよ!、なんかやる気が出てきた、何だか分からないけど僕の中でやれって言ってる気がする……よし!そうと決まれば、まずは…………そうだ一緒にご飯を食べよう!」
「え?」
「デートと言ったらお茶に食事だろ?まずはそういうシチュエーションに慣れよう、後は天音は痩せすぎだ、細い子が好きな男は多いけど、ガリガリなのは駄目だよ、天音はろくなもの食べてないだろ、夜台所にいつもゼリーとかしか置いてない……そんなんじゃ駄目だよ」
「で、でも食欲がなくて…前に拒食症になってて……それから食べられないの……」
「全然食べられないわけじゃないんだよね?」
「少しは……」
「よし!ちょっと待ってて」
僕は立ち上がり台所に向かう……
鍋に火をかけお粥を作る、もうひとつの鍋を使いかつおぶしで出汁を取り煮詰める、塩と醤油で味を付け片栗粉でとろみを付ける。
茶碗によそい、お粥の上にそれをかけ、レンゲと共に天音に出す。
「最初は胃がびっくりしちゃうから、こういう消化の良いものからね、風邪ひいた時に良く作るんだ、食べてみて」
その茶碗をじっと見ていた妹はレンゲを持ち恐る恐るお粥を口にする……
「おいしい……」
そう一言言うと、さらに口にしてくれた。
「少しずつゆっくりやっていこう天音、身体も、男性恐怖症も、僕らの関係も……」
「うん……お兄さん……ありがとう……宜しく」
妹は、お粥を食べながらちょっとだけ上を向き、僕を見つめてくれた。
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