温泉旅行 その4
「のぼせちゃうから僕出るね……」
「えーーー行っちゃうの~~」
「う、うん……後はごゆっくり」
そう言って僕は湯船から出る。
「きゃあああああああ、朋ちゃんのお尻つるんとしてて可愛いいいいいいい」
「み、みないでええええええ」
僕は色んな所を隠しながら、脱衣室に戻る
「はあああああ、全く……」
脱衣室には天音が用意したのか浴衣が置いてあった……ピンクの花柄と赤の花柄……ううやっぱり女物着るのか……
天音が女子二人と予約してるので当然女物で用意されている。
「僕の名前がせめて男っぽければひょっとしたら……、朋じゃな~~」
仕方なくその浴衣を着る、うう自分から見ても可愛い女子が鏡に写っている……これじゃあ天音が僕を男として見ないよな……
でも……脱衣室の篭には天音の脱いだ服と下着が無造作に置いてある、白い下着……そして温泉……ホテルに二人きり
「僕だって男なんだ、そんな物を見せられて何も思わない何て事は無い」
さっきの天音の姿が頭を過る、肌の色、バスタオルがピタリと張り付きはっきりと分かった身体の線……
「天音、天音、あまね……」
僕はそのまま寝室に行き、枕に抱きつきキスをする……
今夜、僕は耐えられるんだろうか……そのままごろんと寝返りをうち、天井を見上げる。
妹はまだ中学生、僕たちは兄妹血は繋がっていなくても兄妹なんだ……
でも……、付き合っている……お互いの意思は確認している……
天井を見上げながら僕の頭の中ではその思いがぐるぐる渦巻いていた。
天音がお風呂から戻って来る、赤い浴衣姿で僕の前に来ると
「きゃあああああああ、朋ちゃん可愛いいいいいい、やっぱり朋ちゃんピンクが似合うよ~~~~」
「天音も可愛いよ」
「ううん、私より朋ちゃんの方が凄く可愛い、ああ、これだからお母さんが泣いて喜ぶんだね、浴衣とか着物、朋ちゃんに似合いすぎるううううう」
「えっと……、まだ早いけど、館内を見てから食事に行こうか」
「うん、浴衣デートだねえ」
天音が僕の腕に自分腕を絡め、僕を引っ張っていく、天音の胸の感触、身体から香る石鹸の匂い、ああ、お母さん……僕はもう耐えられそうありません……
ホテルの館内はとても広く、カラオケやゲームセンターまである、ネトゲで知り合った僕らは当然ゲームセンタに寄る。
「ワニワ○パニックやろう!」
「いいよ~~勝ったらどうする~~?」
「何でも言うことを一つ聞く!」
「よし受けた!」
天音とワニワ○パニックをやる、昔からあるもぐら叩きと同じ要領で、ワニが複数迫って来る、一番手前でガブリと噛まれる前にハンマーで叩きワニを引っ込ませその叩いたポイントを争うゲーム
「えい、えい、えい、えい」
天音が可愛く叩く、こう見えても僕は男だ、運動神経も悪くない、ポンポンポーンとリズミカルに叩いて行く
「えーーー朋ちゃん上手すぎる~~」
僕は天音にあっさり勝ってしまう。
「ううううう、もう一回!」
悔しくて再挑戦する天音、僕はさらにまた勝ってしまう
「くううううううう、もう一回!」
「えーーーー」
結局5戦5勝、僕の圧勝
「ううう酷い朋ちゃん……さあ何でも言いなさい、言うことを聞いてやるううう」
「えーーー良いよおお」
「ダメえ、何でも言って」
「じゃあ……、食事するまで、手を繋いで」
「うん、でもそれお願いしなくても、いつもしてるんだけど……、それで後の4つは?」
「えーー1個で良いよおーー」
「ダメええ」
「でもほら、もう時間だし」
そろそろ午後7時、食事の予約をしている時間だ。
「じゃあ、後でね~~」
天音と手を繋いで食事処へ向かった。
「うわーーうわーーー個室って聞いてたけど、本当に部屋になってるんだ」
よくある大きな部屋でパーティションが切られているナンチャッテ個室ではなく、完全に部屋が分かれている個室、部屋に案内され中に入ると前菜が既に並べられている、そして部屋にはそれぞれ中居さんがつくらしい……すげえ
前菜一つ一つ説明してもらい、それを食べ始めると、その中居さんは目の前の釜に火を入れる、よくある旅館の固形燃料の小さな釜ではなく結構大きな釜が備わっている個室、僕らの目の前でご飯を炊くという事らしい。
「ではごゆっくり」
そう言って中居さんは部屋を出る、ずっといるのかと思っていたけど、ちょくちょく出て行き新しい料理を持っては適当に入ってくる。
「うわーーうわーーー美味しいし凄いしなんかもう良いのって感じ~~」
次から次へと運ばれて来る料理、そのどれも美味しいのだが……
「ううう、朋ちゃん、食べる? 私食べきれない」
「良いよお、無理しないで」
ついこないだ迄、殆どご飯を食べなかった天音、最近食べるようになったとは言え、まだかなり少食だ、僕は天音の分まで食べる……だって勿体無いよ~~
デザート迄全て平らげ、食事を終え部屋に戻ると僕は限界を迎えた。
「ああああ、食べ過ぎたあああ」
僕は帯を緩めベットに寝転ぶ。
「だから残したらって何度も」
「だって勿体無かったんだもん、うううう苦しい」
「じゃあ、はい」
天音は僕の頭を抱えると膝枕する、そして僕の頭を撫でる。
「いいこ~~いいこ~~朋ちゃん~~いいこ~~~♪」
天音が何か子守り歌の様なテンポで鼻唄を歌う。
「えっと……」
これって……お腹が苦しい時の対処か? と思いつつも、凄くいい居心地なのは間違いない……僕は天音の歌を聞き目を瞑った。
暫くして目を開けると、天音が僕をじっと見ていた、お腹はだいぶん楽になった、天音は僕が目を開けるとニッコリと笑う……
どれくらい寝てたのか分からないが、ずっと寝顔を見られていたかと思うと照れ臭くなった。
「あ、ありがとう、大分楽になったよ」
僕はそう言って立ち上がる、天音も一緒に立ち上がろうとするも、足が痺れていたのかそのまま僕に倒れ混む、僕は天音を受け止め切れずに二人揃ってベットに倒れ込んだ。
帯を緩めていたせいで、僕の浴衣がはだける、その状態で天音に乗り掛かる状態になってしまった。
「ご、ごめん、大丈夫?」
僕の目の前に天音の顔が、天音は何も言わず僕を見つめる、僕も天音を見つめる……
天音……可愛い、僕の彼女……
「天音……」
僕がそう言うと……天音がゆっくりと目を閉じる……
「天音……」
僕は目を瞑った天音に顔を近づける……
遂に天音とキスをそう思った時、天音の瞑った目から涙が溢れだす……そして、さらにブルブルと天音が震えだした……
「あ、天音?」
僕がそう言うと天音は顔を両手で抑えて横を向き泣を流す……
「ご、ごめん、ごめんね、朋」
朋ちゃんではなく朋と僕を呼んで天音はそのままワンワンと泣き始めた。
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