温泉旅行 その3


「うわあああああああ」

 僕は慌てて後ろを向く、天音を見ないように、天音に見られないように


「わあああ、凄い~~~景色いいねえ」

 ちゃぽちゃぽと温泉が注がれている音が聞こえる、そしてその音の中にちゃぽちゃぽと別の音が、天音が温泉に入って来る音が聞こえる。


「朋ちゃんタオル巻いて入ってるから大丈夫だよ~~」

 通常ならマナー違反だが、客室専用露天風呂なのでタオルを巻いて入って来ているらしい天音に少しホッとする。


「ほ、ほら僕今ウイッグ取ってるし、メイクもしてないし……だ、だから僕は今男の子なんだよ? 天音それでも平気なの?」


「えーー? 朋ちゃんは私の彼氏なんだから、メイクしててもしてなくても一緒だよ~~」


 どんどん天音の声が近づいて来る、僕はドキドキが止まらない、ど、どうしよう


「わーー良い景色~~」

 うわわわわわわわわわ!


 天音が僕の横に来て外を眺める、横目で見ると確かにタオルは巻いている。


 僕は慌てて置いてあるタオルで大事な所を隠して、湯船に顔半分まで浸かり天音に見られないように身体を隠す。



「夏に温泉も悪くないね、少しありがたみは薄いけど」

 僕の隣に座る天音、肩が僕に触れている……うわーーうわーーー


 僕は天音をゆっくりと見る、ここ数年ネトゲばかりだったせいなのか、白い本当に白い肌の首と肩と腕、そしてほんのりピンクになっている胸、昔は大きかったと言って居たけど、僕は今位が一番好きってなに言ってるんだ僕!


「朋ちゃん……ごめんね……まだスタイル戻りきらないの、ガリガリで醜いよね、私……」


「そ! そんな事ない! 細いけど、そこまでじゃない、くびれも綺麗に出てるし、お尻も小さいけど綺麗だし、胸だって僕好みの…………あ!」


「あーーーー、なんだかんだ言ってちゃんと見てるんだ~~朋ちゃんエッチ」


 天音は僕の肩に頭を乗せる、髪から物凄く良い匂いがする……


「でも朋ちゃんが好みって言ってくれて嬉しい、朋ちゃんのおかげだもんね、私がご飯を普通に食べられる様になったのも朋ちゃんがいつも私に作ってくれるし、そもそも何とかスタイルを良くしようって思ったのも朋ちゃんと会う為だったし」


 天音はストーカーの為に外にあまり出れなくなり、ついでに拒食症まで発症していた、ネトゲで知り合った僕と会う為に僕が天音に協力するべく、天音の男嫌いと一緒に拒食症も治す為にご飯も作っていた。



「そんな事ないよ、拒食症は既に治りかけてたし、僕は天音の背中を軽く押しただけ……」


 僕はそう言い天音を見る、天音も僕を見る、うるうるとした瞳、綺麗だ、天音綺麗で可愛い、首から肩にかけてさっきよりもピンクに染まっている……


「今度は……朋ちゃん番だね……」

 天音がそう言う…………ん? 僕の番?


「朋ちゃんもガリガリだから一杯食べないとね、私よりおっぱい小さいんだからもっと食べないとね、でもあまり大きくなると朋ちゃん可愛くなくなるのかなぁ?」


「は?」


「朋ちゃん顔も小さくて、身体も小さくて全体的に見ても超超可愛いんだよね~~でも少し痩せすぎだよね、まあ朋ちゃんなら少し大きくなっても美人さんだからね、そうだ! 超超可愛いにさらに、超超美人さんを目指そう、ああ、また私の可愛い朋ちゃんの魅力が増しちゃう」


「えっと……天音?」


「今日の夕飯凄く美味しいって、一杯食べてお互いおっぱい大きくしようね、朋ちゃん!」


「ううううう、だーーーーかーーーーーらーーーーー僕は男の子だってばああああああああああ!!」


 くそう、次回立つぞ、タオル外して僕は立ち上がるぞ!!

 立つって言う字も難しい方にするぞおおおおおおおおお!

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