第12話 従業員
今日は、ファミレスで働いている従業員のほう。
最初に云ったけれど、このファミレスは、全国展開しているチェーン店。しかし、もともと、ここは別のファミレスが運営していた。
以前の名残がこの無駄に広い店内。
入って半分がテーブル席で、残りは個室のこ上がりだった。以前は高級ファミレス。という感じの店で、あたしも、誕生日とかになんか連れてきてもらった徳部宇感あるレストランだった。そう、ファミレスじゃなくて、レストランだな。
それが採算が合わず、オーナーが夜逃げしたとかで(あくまで噂なんて真相は知らない)しばらくはでっかい空き家だったのを、今の全国チェーン店が買い取ったんだが、座敷がなくなったことで、うちのばあさん(母親だけども)がこんなの、前と違う。とか文句言ってたわ。
すっかり全席テーブル。おまけに、広いので、大人数のテーブル起き放題。多分、他店で使えないような大人数テーブルの最終置き場にされてないだろうか? と思ってしまうほどだが、それでも、このあたり住宅地だから満席になる。
テーブル数が多いわりに従業員は比較的少数なのは、忙しいわりに給料が安いせいだろう。
あたしがこの店を利用する回数は(今ではない。今は、必要に迫られているけど、以前の話)一年に一度の割だったけど、その間、十円、二十円とバイト代が上がっていっているが、求人募集の紙がはがれたのを見たことがない。
それでも、なかなか続いていると思うのが、甲高くて甘ったるく話すバイト。名前が「四方」。これが全く読めなかった。
「しほう」さんだろうと目星をつけていたが、別に名前を呼ぶわけじゃないので、なんて読むんだろう。と思っていたら、従業員の人が、「よもうさん」と呼んだ。
あれ、「よもう」って読むんだ。って勉強になった。
県外のかたらしくて、大学生で、あと半年でバイトをやめて就活しなきゃいけないんだとか。声が独特なくせにわりとしっかりしている。わりとは余計か(笑)。だが、バイトの中で彼女ほど店内を回っている人は見ないかな。
昼間にバイトで入っている人がいる。主婦で、これは読める。「鈴木」さん。主婦で、子供が保育園と学校に行っている間働いているようだ。今時の若いお母さんにしては(失礼な言い方だけども・笑)物腰が丁寧で数回来た客の好みはすぐに覚える。
あたしとも数回で仲良くなり、両隣の建て替えで避難している旨を話すと同情してくれた。
以前、幼稚園児を連れてきた意識高い系のママさん、あの人知っているようで、絵から出てすぐに大きなハコバンを花壇にぶつけ、車の修理が必要となったり、また、子供をチャイルドシートに乗せてないのをつかまって免停になったのだとか。チャイルドシートの点数で免停って、どうなんだ? と思ったら、かなりのスピード狂でもあったし、その時は赤信号無視して、危うく大事故になるところだったらしい。その時、子供用にとつけていたDVD見ながら運転してたらしくて、運がいいのか、悪いのか、真後ろにパトカーいるのに赤で前進したんだそうだ。しかも、後ろのガラスからDVDに夢中だったとか、子供がシートに座らずに飛び跳ねているのが見えたとか、言い逃れできなかったらしい。
さすがに懲りたようで、まぁ、免許取り上げられたからね。今はおとなしくしているらしいと言っていた。
いやぁ、ああいう迷惑なドライバーは免許いらないよね。と二人で笑った。
鈴木さんと交代で入る「松木」さんはベテランで、四時から最終の23時までいるらしい。大学に子供を通わせているし、家に居ても、会話のない亭主と二人が耐えられないから、仕事しているんだと笑って言う。
細くて小柄な人なのになぜだか古き良き時代の、恰幅のいいお母ちゃんを思い出す。
そのほか、数名の学生バイトが居るが、あたしが好きなのは、この三人だけだな。
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