('A`):やっぱ壊れちまえよ、こんな世界……

拝啓


 初夏の日差しが厳しく、ますます夏という時分を感じる季節になり、

 いかがお過ごしでしょうか?




 タカシです。





 前回、"どうしようもならない"という結果に諦めの境地を見出し、「もう、どうにでもなーれー」という心境で地球破壊を慣行してみたところ、拳が当たった感触の後、世界が止まりました。


 小鳥のさえずりも、風に揺られる草木も、何もかもがその状態で止まり、それはもう"ピタッ"っという表現ができるぐらいに静寂に包まれていきます。



 それなのに、自分だけけが取り残されているという予想外の事が起こっては困惑していたら、突然、目の前に"カミ"と自称する方が現れていました。



 そうして、その方が現れた瞬間「この世界を壊すな!」という怒声を頂き、その後に正座を強要させられ、こまごまとしたご高説……もとい、ありがたいご説教を受けさせていただきました。



 ありがたいご説教を頂いた後、この役立たずな技チートスキルを何とかできないか?と恐る恐る相談を持ち掛けたところ、じっと見つめられた後「その能力スキルを与えた方が自分とは位階が違いすぎる方だから、根本から変えるのは無理だ」とバッサリ切り捨てられました。



 何でも、今現在目の前のカミ様は管理階級であり、私に対してチートを与えたのは創世階級という、ほぼほぼ最高位の方だとか。


 そして、位階がまったく違いすぎて対応が不可能かつ、無理にどうこうしようと出来るものなら、とうにやっている、という愚痴をこぼすような形で、日ごろの鬱憤を口からあふれんばかりにこぼされておられました。



 社会人的にいえば、役職が違うという風な事だったので、詳しく説明していただいたところによると、この世界そのものを作ったのが創世神で、作った世界を管理するのが管理神の自分たちだという事で、いうなれば下位の役職という恰好だそうです。



 もっとわかりやすく言うなら、創業者と管理職の違いといえばいいのでしょうか。



 で、その創世神は、世界のことわりすらも創っているために、こうしたチート能力をことわりの中に組み込む事で再現を可能にさせているとか。


 そのため、ことわりの中に、"無理やりねじ込んだ、いびつな存在"が起こす問題に対して、目の前におられる管理神が働いているとか何とかとおっしゃりました。




 そうですか、自分"いびつな存在"だったみたいです。




 そんな説明をしくださる神様の "社長の無理無謀に振り回される管理職ってこういうのを言うのでしょうか?"という、どこか報われない中間管理職の様な感じをうけてしまい、同情的な感傷におちついてしまいました。



 そんな話(愚痴ともいうのでしょうか)を延々と聞かされましたが、結局、創世神って、もしかして厄病神か何かの親類ではないでしょうかね?と、心の中で確定事項として保存しておきます。



 とりあえず世界の修復をするから、しばらくその力を制御できるようになっておけ、と言われた途端、いきなり視界が変わったかと思えば、某精神とか時とかの部屋よろしく、白い空間に標的となるマト?がポツンとある空間に飛ばされました。



(なお、足が痺れてしばらく悶絶していたのは、当たり前だと思います。)



 ようやく真面に動けるようになり、調べるつもりで、そのマトの継ぎ目はどうなってるのかと引っ張った瞬間、爆発四散しました。


 飛び散った粉が目に入って少し痛かったですが、四散した粉塵が消えたかと思えば、元通りに元の位置に爆発する前の状態の物が復活していました。



 他にはと調べてみるも、生活に役に立つような設備があります。

 さらに、見つけたものといえば、寝具と食料が置いてあるだけでしたが……



 これは、先程の管理神の言葉と、この道具の状況から察するに、修行しろという事だとも思い、とにかく手加減的な事か、威力をなくしてみる事をやってみようかと繰り返す事、二日ほどで分かったことがありました。









 何をどうやっても、盛大に粉末へと爆発四散します。








 よくある魔法的な何やらとかでイメージ?とかいうもので、打ち上げ花火ではなく線香花火的なイメージだけを持つだけでも、同じ風に爆発四散します。



 他にも、北の方の拳のごとく、人差し指で突くと、ダウンするどころか爆発四散。


 それも、ピキーとかそんな音が起きてから四散とかではありません、触った瞬間に風船がはじけるがごとく、パーンという感じです。



 ちなみに、親指・人差し指は当たり前で発動し、中指、薬指、小指、足の指すらすべてで確認がとれました。


 もっといえば、勢いよくつついても、ゆっくりつついても、触れるという形でも爆発四散です。



 こうなればと腕、頭突きに膝蹴り、パンチにビンタ、と試してみるだけためしましたが、打撃系はすべてアウトです。



 それならばと、置いてあった棒切れでたたいたり、突いたり、投げつけたりでも同じでした。


 まぁ、さすがに、トンファーよそ見よろしく、マトを意識して棒切れよそ見は何も起き……




 爆発四散、否、粉微塵になりました。






 もう、訳が分かりません。



 試しに、自分自身に対して痛みを感じる程度につねったり、つついたり、たたいたり、などなどしましたが、自分自身には全く発動する気配がありません。



 というか、そろそろ気力体力ともに持ちそうにありません……


 なにせ食料がまともに取れていません。

 噛もうとするだけで爆発四散しますから。


 歯が欠けるという事はなかったのですが、喉の奥に飛んで入るのはやめてほしかったです。


 仕方がないので、吹き飛んだ破片を吸い込むしかないという、ケダモノ以下の食事のとり方しかできていない始末から始まり、今では吹き飛んだ物を落下地点で口を開けて待ち構えるしかありません。


 液体物は、噴水よろしく流れている所にうまく顔を入れないといけません。

 勢いあまって頭からつっこむと、流れている水が爆発四散していきます。



 訳がわかりませんが、はっきりした事があります。






 こんなスキルを、お与えくださった神は、やっぱり厄病神クソだと確信します。








 それでは、みなさまにも、理不尽な異世界生活が訪れないことを願いつつ。



                                 敬具



追伸:

 最近では、爆発四散する方向の傾向がわかり始めました。

 爆発四散する物体の元の形状によっては、微妙に異なるようです。

 指でつつくと、ほら、自分の想定した全方位に爆発四散する様にみえますが、

 こう、広がり方が微妙に……変わって……



('A`):やっぱ壊れちまえよ、こんな世界……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る